研究課題/領域番号 |
22K18694
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長澤 裕 立命館大学, 生命科学部, 教授 (50294161)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | クリプトビオシス / ガラス転移 / トレハロース / 時間分解分光 / red-edge効果 / 2次元蛍光励起スペクトル / 耐乾燥性 / 耐凍結性 |
研究成果の概要 |
糖のガラス転移の分子運動抑制効果を解明するため、 蛍光のred-edge効果(REE)とフェムト秒過渡吸収(TA)スペクトル測定による研究を行った。糖ガラス中のAuramine O (AuO)についてREEを測定し、フェニル基のねじれ運動抑制を観測した。同様な無蛍光性色素phenol blue (PhB)についてTAスペクトル測定を行ったところ、ポリマーガラス中に封入しても無輻射失活は抑制されず、PhBの無輻射失活は大きな分子構造の変化をともなわないことが判明した。また、これらの手法を蛋白質に応用するため、予備的なTAスペクトル測定を紅色光合成細菌の光捕集アンテナLH2について行った。
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自由記述の分野 |
物理化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物の中には「クリプトビオシス」と呼ばれる驚異的な耐乾燥性や耐凍結性を示すものがある。たとえば、アフリカの砂漠に住むネムリユスリカの幼虫は、新陳代謝が完全に静止した17年間の乾燥状態の後に水を加えると蘇生したとの報告がある。クリプトビオシスの際、糖やその他の物質がガラス転移を起こし、極度に分子運動が抑制され、生体物質の劣化に関与する不要な化学反応を防止すると考えられる。そのメカニズムを解明することは学術的な意義のみではなく、臓器や生体物質の長期保存等の医学的な応用が期待できる研究であり、社会的な意義も大きい。そこで我々は、糖のガラス転移に関して分光学的な実験手法による研究を行ってきた。
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