研究課題
本研究は最新の超伝導単一光子検出器を用いた軽い暗黒物質探索を目指す。当初予定では超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を使う予定であったが、本年度は、ハフニウムを超伝導素材とする超伝導力学的インダクタンス検出器をベースとした単一光子検出器の試作1号機を作成した。これは、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器には無いエネルギー測定と多重読み出し技術を用した将来の拡張性という利点があるからである。テストの結果、おおよそ予想通りの温度で超伝導転移することを確認した。単一光子検出をテストするためのシステムを東北大学内部に設置した。また、東北大学内部の研究協力者とシンチレーション結晶を超伝導単一光子検出器でファイバーで結合させて、アンチコインシデンスを取ることで軽い暗黒物質を探索する新しい実験デザインを提案し、予想される探索感度評価を行った。さらに、神岡地下での本格的な暗黒物質探索に備えて、地下実験室でのヘリウム比例計数管を用いた環境中性子測定を行った。特に、高密度ポリエチレンシールドの有無でslowとfastの2成分の測定に成功した。また、slow測定の状態で環境中性子フラックスの年次変化をモニターするための長期測定を開始した。また、超伝導力学的インダクタンス検出器の読み出しに関して京都大学と高エネルギー加速機研究機構の研究者と協力して、RFSoCを用いた多重読み出しシステムの開発を新規に実施した。RFSoCで超伝導力学的インダクタンス検出器の共振を測定でき、将来の多重化が可能であることを実証した。
3: やや遅れている
最も重要な超伝導単一光子検出器の試作1号機の評価が東北大学の希釈冷凍機の不具合のために遅れている。
早急に東北大学の希釈冷凍機の不具合を解決し、試験を再開する。また、不具合が長引きそうな場合を想定して、高エネルギー加速機研究機構の希釈冷凍機でのテストの可能性を検討する。
希釈冷凍機不具合により、次年度に試験が延期となった。そのために、試験に関係する消耗品と試作2号機の製作費用を次年度に持ち越す。
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Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2023 ページ: -
10.1093/ptep/ptad124