研究課題/領域番号 |
22K18713
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 惇也 京都大学, 理学研究科, 助教 (90795014)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 超伝導検出器 / リードアウト / RFSoC / FPGA |
研究実績の概要 |
本研究ではRF ADC/DAC、FPGA、CPUが一体となったチップRFSoCを用いた超伝導検出器のリードアウトシステムを開発する。近年のミリ波・サブミリ波宇宙観測実験や低質量ダークマター探索実験では、感度を向上させるために大量のセンサーを同時に運用する必要がある。センサー数の増大によりリードアウトは困難になるため、一対の線で1000以上ものセンサー読み出しを実現する多重化の手法が開発された。本研究ではRFSoCを活用することで、これまで高額な部品を組み合わせて作っていたリードアウトをひとまとめにし、コストを下げながら安定性や取り回しやすさを向上させることを目指す。 【RFSoC】昨年度までは第1世代のRFSoCを用いた開発を行ってきたが、今年度は性能が向上した第3世代のチップでの実装を試みた。世代による違いに対応できる開発を行い、第3世代のRFSoC上で基本的な動作ができることが確認できた。特に超伝導センサーの読み出しに必須となるADC/DAC間の同期プロセスについて、独自にコードを移植したことで簡単に実現できるようになった。 【FPGA上でのフーリエ変換】多数のセンサーを読み出す場合には、各チャンネルごとにDDCを行うよりも高速フーリエ変換アルゴリズムを用いて周波数分解をした方がリソース効率が向上する。これを実現するため、最大5GSPSで送られてくるデータをリアルタイムに処理できるフーリエ変換の実装を試み、成功した。特にメモリの使用量を削減できるアイデアをもとに特許の取得も行った。 【テスト用の超伝導チップの開発】多重化をテストするための、超伝導共振器を複数並べたチップの開発も行った。MEMS用の開発装置を用いてフォトリソグラフィで共振器パターンを形成した。製作したチップを研究室の300 mK冷凍機で試験し、超伝導共振器に由来する信号を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RFSoCチップの発展が当初の想定以上に早く、世代交代に対応する必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
チップの世代交代については今年度で対応できたため、来年度はこの知見と製作したFFTと合わせて、RFSoCを用いたリードアウトの開発を計画通り進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
RFSoCチップの発展が当初の想定以上に早く、世代交代に対応する研究が必要になったことで進捗が遅れたため、次年度使用額が生じた。最新世代の性能に合わせた試験用の超伝導チップの製作や、研究成果発表を次年度に行う。
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