研究課題
(1) Si-Geピクセルアレイの試作と評価:2023年3-4月に産総研でSAB接合を行い,その後宇宙研で評価を行った.当初,空乏層がSi-Ge界面に到達する印加電圧40V付近で,暗電流が増加すると予想していたが,それに対応する暗電流の「段」は見られなかった.IRレーザーを照射に対しても,光電流の増加は観測されなかった.これはSi中は空乏層が伸びてSi-Ge接合面に到達するが,それ以上Ge側には伸びていかないと解釈可能である.検討の結果,Si表面側の側壁付近に形成したP+から空乏化電圧を印加したことが原因だと考えた.(2) 実装プロセスの課題の発見:Si-Ge撮像素子のプロセスは,SAB接合,ダイシング,組み立ての3段階である.SAB接合プロセスでSi側にクラックが発生した.薄く大きなSiチップに厚く小さいGeチップを接合したため,Geチップ端がSiを傷を付けたことが原因だと考えている.ダイシングでは割れが発生した.スクライブラインの参照の必要性から,Ge側が下でSi側が上の状態で,Si側にダイシングソーを当てることになる.その結果Geチップ端から片持ち状態のSi側に強いストレスがかかり,割れ等が発生するのである.組み立ては問題がなかった.(3) 接合プロセスの改善:400℃30分の界面回復アニーリングを行ったSi-Ge素子の20万倍TEM断面観察から,Ge側でストレスが発生していることがわかった.また200万倍の観察からSiとGeの中間層であるアモルファス層は4-5 nm存在していることがわかった.情報収集の結果,SiとInGaAsのSAB接合ではアニーリングをしない状態でもほぼ同じ厚みのアモルファス層が存在することがわかった.両者を考え合わせると,400℃ 30分のアニーリングでは回復に対しまだ温度が低い可能性がある.
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