研究課題/領域番号 |
22K18724
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武藤 潤 東北大学, 理学研究科, 教授 (40545787)
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研究分担者 |
廣瀬 丈洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究所長 (40470124)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 放射光 / 摩擦実験 / オペランド計測 / 断層摩擦 |
研究実績の概要 |
本研究では、放射光施設でも使用可能な小型の摩擦試験機の自作設計を検討していた。しかし、九州大学の八木研究室で、Yagi et al. (2016Tribology)の実験機を見学することができ、八木准教授の放射光実験に参加することにした。この経験を通じて、試験機の設計と放射光実験の概要や手法について理解を深めることができた。八木先生の研究室では、今年度、Yagi et al. (2016)で使用した摩擦実験機を改良した放射光実験を行っており、この実験機を改良することで岩石の高速摩擦実験が可能になる。 八木研究室の訪問および放射光実験を見学し、試験機製作の必要な物品をリスト化した。このリストには、試料や機器の設置に必要なアイテムが含まれている。このリストを参考に、今後の研究で使用する機器や材料の調達を行う予定である。また、八木先生から実験機本体の図面を入手することができた。現在、岩石試料の保持機構を中心に設計を進めている。今回の研究実績を通じて、放射光実験の方法や必要な機器についての知識を得ることができた。これを基に、今後の研究で試験機の設計を進め、より早期にオフラインでの摩擦実験を開始し、放射光実験が行えることを目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、当初試験機の自作設計を検討していたが、九州大学の八木先生の放射光実験に参加し、その方法や機器に関する知識を得ることができた。また、その設計図面まで提供していただいた。ただし、八木先生の放射光実験が2023年1月末になったため、その後の詳細な図面に関する打ち合わせも含め、進捗が少し遅れている状況である。 遅れを取り戻すために、現在は岩石試料の保持機構の改良に取り組んでいる。この機構を最適化することで、実験中の信頼性と安全性を向上させることを目指している。また、岩石粉末が飛び散らない設計の検討も進めており、試料保持機構周囲の遮蔽物の設置や試料と放射光源の距離確保などの方法を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として以下を行い、早急にオフラインでの摩擦実験を開始する。 1)岩石試料を保持する機構の改良: 八木准教授から入手した図面を基に、岩石試料の保持機構を改良する。試料が安定して保持できるよう、機構の設計を最適化し、実験中の信頼性と安全性を向上させる。 2)高速摩擦中でも岩石粉末が飛び散らない設計の検討: 放射光実験中に岩石粉末が飛び散らないような設計を検討する。これには、試料保持機構の周囲に遮蔽物を設置することや、ピンを保持するバネ機構の追加など、試料保持機構自体に粉末の飛散を防ぐ機能を追加することも検討する。 これらの推進方策により、放射光実験における安全性と信頼性を向上させることができる。この方策を取るために、八木准教授を分担研究者として追加することを検討している。これにより、今後の研究で、これらの方策を具体的に実行し、放射光実験の研究水準を向上させていくことが目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は研究初年度に摩擦実験機の製作を予定していたが、先述の理由により、制作が遅れている。そのための経費を2年目以降に確保しているため。今後は早急に摩擦実験機を制作し、オフラインの実験を開始する。
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