研究実績の概要 |
本研究は、定常状態の変形組織に達した多相系天然岩石から変形時の情報を読み取るために新しい差応力計を開発することを目的に研究を進める。 高歪みのかんらん石+輝石多結晶体の変形実験:世界で唯一マントルかんらん岩の大変形を伴うねじり実験が可能な、米国ミネソタ大学Kohlstedt研究室のガス圧式変形試験機を使って実験を行った。かんらん石+輝石系の2相系試料を用いて、歪み100%以上の変形実験を行い、変位スピードと応力(数10 ~ 300MPa程度)を変えた実験を複数回、定常状態に達した変形組織と力学データを得た。 岩石組織解析:申請者らの研究グループは高解像度の結晶方位解析と岩石変形の物理を踏まえて、粒子スケールの応力・変位ベクトルと欠陥密度を見積もる方法を開発(Wallis, Hansen, Tasaka et al., 2019 EPSL)、2022年度静岡大学に走査型電子顕微鏡と電子線後方散乱回折装置(FE-SEM, JXA-iHP200F; EBSD, Oxford-symmetry)が新規導入され、この装置を使って分析を行っている。この装置は低真空モードで炭素蒸着なしに高解像度かつ超高速度で岩石組織を分析することができ、本研究課題遂行に最適な装置である。現在までに7試料の分析を行い、次年度に解析を進める予定である。
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