研究課題/領域番号 |
22K18755
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西脇 眞二 京都大学, 工学研究科, 教授 (10346041)
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研究分担者 |
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
古田 幸三 京都大学, 工学研究科, 特定助教 (20833031)
近藤 継男 京都大学, 工学研究科, 研究員 (90394402)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | トポロジー最適化 / 構造創成 / 構造メタマテリアル / き裂の発生・進展 / 有限変形 |
研究実績の概要 |
き裂進展を伴う大変形挙動は,変位制御下でのき裂開口による構造全体の異方的な挙動や,微小変形では達成できない大変位・大回転挙動を利用できる可能性をもち,メゾスケールにおいて,このき裂発生の位置や進展と有限変形挙動を制御できれば,マクロスケールにおいて,新しい機能をもつ材料構造を設計できる可能性がある.本研究では,このような材料構造創成法として,き裂の発生位置と進展過程および有限変形・回転のような構造の不安定挙動をも解析・制御・特定を可能とすることにより,新機能を付加可能な構造創成設計法を,トポロジー最適化に基づき構築する. 本年度は,その研究開発の一環として,フェーズフィールド法に基づき,き裂の発生・進展と変形を同時に解明可能な方法論を構築した.併せて,フェーズフィールド法に基づくトポロジー最適化の方法論についても,設計変数を更新するための反応拡散方程式の改善を行うとともに,変形量と変形モードを特定可能な目的関数の定式化について検討を行った.さらに,目的関数を剛性の最大化,すなわち平均コンプライアンスの最小化に設定した場合の,構造創成設計法を構築し,その方法を簡単な設計問題に適用し,方法論の妥当性の検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に予定していたフェーズフィールド法に基づき,き裂の発生・進展と変形を同時に解明可能な方法論を構築でき,さらに,フェーズフィールド法に基づくトポロジー最適化の方法論についても,設計変数を更新するための反応拡散方程式の改善を行うことができたから,さらに,目的関数を剛性の最大化,すなわち平均コンプライアンスの最小化に設定した場合の構造創成設計法を構築し,その方法を簡単な設計問題に適用し,方法論の妥当性の検証を行うことができたから.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には,前年度に構築したき裂発生・進展と有限変形の現象解明法と,フェーズフィールド法に基づくトポロジー最適化の方法とを統合化する方法論を引き続き構築する.すなわちまず,き裂を表現するための指数関数で表現される関数と,トポロジー最適化において材料の配置情報を示す正規化された密度の両方を表現可能な新たな関数を構築する.次に,フェーズフィールド法とトポロジー最適化の二つのエネルギ汎関数を統合化することにより導出したエネルギ汎関数,そして統合化されたエネルギ汎関数より導出される反応拡散方程式を定式化する.さらにその定式化から,トポロジー最適化に必要な設計感度を求めるための随伴方程式の導出を行う.そして,それらの定式化に基づき,具体的な最適化アルゴリズムを構築する.なお,非線形性が強い問題では,数値安定性の問題から随伴方程式を直接計算できない問題が流体問題を中心に近年報告されている.本研究もこのような問題が生じた場合,近年解決策として報告されている随伴離散化問題に置き換えて直接数値微分を求める方法を検討する. 2024年度には,引き続き最適化アルゴリズムを検討し,具体的な数値実装を行う.さらに,構築したトポロジー最適化アルゴリズムにより,簡単な構造設計問題を解き最適構造を求め,得られた最適構造の妥当性を,理論解および他の数値解析解と比較することにより検証する.また,必要であればアルゴリズムに改良を行う.さらに,求められた構造の力学的妥当性と工学的有効性を他の数値計算法により検証し,新機能材料構造設計への展開を探索する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた物品費・旅費・人件費を利用することなく,現状の設備等で研究を進めることができたため.
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