本研究課題では通常のSGSモデルを用いたLESでは正しい平均速度分布やレイノルズ剪断応力が得られないほど粗い格子を用いたLESでも、正しい速度分布やレイノルズ剪断応力が得られる機械学習ベースのSGSモデルの確立を目指して研究を実施した。本研究課題最終年度となる本年度は、昨年度構築した教師なし機械学習パイプラインモデルに基づく粗格子LESのSGSモデルに関して、学習データ数を増やしモデルの収束性を確認した。続けて、開発した教師なし機械学習パイプライン基づくSGSモデルをLESソルバーに組み込み、実際に粗格子を用いたLES解析により本SGSモデルの性能を詳細に検証した。本粗格子LESのSGSモデルは、逆拡散SGS応力などの効果で粗い格子で非物理的に伸長した壁面付近の構造を細かい構造へと崩壊させる効果があることが明らかとなった。その結果、レイノルズ剪断応力が壁面近傍から適切に生成されることで、粗格子LESでも正しい平均速度分布を得られるという開発した粗格子LESのSGSモデルの有効性を明らかにした。 加えて、粗い時間刻み幅を用いた時間陰解法により生じる流れ場の時間積分エラーを修正する機械学習モデルを構築し、LESにおける高速な時間積分法の確立を目指して研究を実施した。結果、時間積分エラーによって欠落した細かな乱流構造や数値振動を機械学習より修正し、乱流統計量やスペクトルの観点からも乱流場を再現できることを明らかにした。
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