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2022 年度 実施状況報告書

固気液三相界線の分子的描像へと迫る新たな走査プローブ顕微鏡法

研究課題

研究課題/領域番号 22K18772
研究機関九州大学

研究代表者

高橋 厚史  九州大学, 工学研究院, 教授 (10243924)

研究分担者 手嶋 秀彰  九州大学, 工学研究院, 助教 (60906220)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードナノマイクロ熱工学 / 原子間力顕微鏡 / グラフェン / ピニング
研究実績の概要

固気液三相界線は熱工学に限らず製造技術や生体工学など幅広い分野において重要である。それにもかかわらず、異なる三相が相互作用しあう場の物理機構の正確な理解は困難で、新たな実験的手法による分子スケールでの現象解明が求められている。本研究では走査プローブ顕微鏡の中でも、従来の手法に比べて10倍以上高感度な周波数変調モードや表面電位を計測できるケルビンプローブフォース顕微鏡をさらに発展させ使い分けることによって、空気分子および不純物の吸着や凝縮層、固体表面の不均一性、および三相界線近傍の帯電状態が与える影響について調査することを目的としている。今年度は、架橋グラフェン液体セルという新たな実験用デバイスを開発することを優先して研究を行った。具体的には、最初の困難な技術課題である、厚さが50nmのシリコン窒化膜に100マイクロメートル程度の小さな孔を設ける実験を行った。しかしながら、用いる集束イオンビームの条件変更や保護膜付加などいくつかの工夫を行ったものの、膜の強い残留応力のために孔の周辺の維持されてほしい部分も破断してしまうことが明らかになった。一方で、固気液三相界線の重要な物理であるピニングについては、グリセロールのナノ液滴を対象に原子間力顕微鏡のAMモードで基板を3通り用いて詳しく調べることに成功した。その実験からは、オングストロームオーダーの表面粗さがナノスケールの接触角に対して重要な働きをしていることが示唆される結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたケルビンプローブフォース顕微鏡観察については実験用デバイスの開発に問題が見つかり、今のところ有効な解決策が見いだせていない一方で、グリセロールのナノ液滴の三相界線については原子間力顕微鏡で詳細に調べることができたので、概ね順調な進展状況と考えている。

今後の研究の推進方策

ケルビンプローブフォース顕微鏡観察のためのグラフェンを用いた新規実験用デバイスの開発については継続して行う。ただし、過剰な固執はせず、並行して三相界線の物理に迫るための様々な原子間力顕微鏡実験を進める。

次年度使用額が生じた理由

架橋グラフェン液体セルという新たな実験用デバイスを開発することを優先的に研究を行ったが、残留応力のために孔の周辺の維持されてほしい膜も破断してしまうことが明らかになり、それに関して十分な実験ができなかったことから当該助成金が生じた。引き続きこのデバイスの開発を別の方法で継続するとともに、研究目的を達成するための異なるデバイスの開発も試みることを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Nanoscale Contact Line Pinning Boosted by Angstrom-Scale Surface Heterogeneity2023

    • 著者名/発表者名
      Heima Yuta、Teshima Hideaki、Takahashi Koji
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry Letters

      巻: 14 ページ: 3561~3566

    • DOI

      10.1021/acs.jpclett.3c00428

    • 査読あり

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公開日: 2023-12-25  

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