申請者らは、マイクロ孔を有するエレクトロニクスシートと心筋細胞から構成される、画期的な細胞―エレクトロニクスが一体化した融合体を開発できる技術・ノウハウを有している。また、申請者は、心疾患に関する多数の著書や学術論文の執筆経験があるだけでなく、 数値計算によって、心臓組織または心筋細胞組織における電位の伝播メカニズムの詳細を把 握する技術を有している。心筋組織における融合体(心筋ハイブリッドデバイス)を開発することによって、高精度に組織内部の情報を測定でき、これを数値計算と融合することによって、従来とは一線を画する精度で様々なメカニズム解明が可能になる。従来の研究は、数値計算は計算研究者により実施され、またバイオ実験は高度なスキルを有する実験研究者により実施され、これらが統合されることはなかった。申請者らのチームは、実験と計算に通じたメンバーの集まりであり、高度な実験の実施とこれによって得られた情報により数値計算モデルの改良を同時に実施可能であった。 最終年度は、数値計算の精度向上に関する研究を実施した。国際的な協力関係を気づいているUC DavisのSato准教授と頻繁にディスカッションを行いながら、数値計算の研究を推進した。様々な条件での解析を行うことによって、計算モデルの妥当性を検証した。その上で、定性的な傾向が、実験結果や臨床結果と一致することを確認した。これによって、構築した計算モデルが、様々な疾患を再現するための礎になると考えている。
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