研究課題/領域番号 |
22K18780
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
秋山 佳丈 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (80585878)
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研究分担者 |
塚原 淳 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (70601128)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 培養筋 / 収縮制御 / バイオアクチュエータ |
研究実績の概要 |
従来の培養筋アクチュエータに関する研究は,実証指向型で試行錯誤的に進められてきた.本研究では,生体筋に幅広く用いられるHillモデルに基づく古典的制御に加え,中枢神経系(脳と脊髄)を模したニューラルネットワークによる制御系を構築し,最終的に「遊泳型バイオハイブリッドロボット」への実装を目指す.本年度は以下の項目に取り組んだ. 1.培養筋のモデル化:培養筋は,マウスの筋細胞株C2C12をコラーゲン等細胞外基質中に懸濁し,10日程度培養することで得た.また,高酸素下で培養することで,収縮力が向上することも確認できた.この培養筋に対して,等尺性引張試験や伸展試験を行い,その張力データを取得した.このデータに対し,Hillの4要素パラメータによるモデル化を行った.モデルは,収縮力Fa,ダッシュポット要素C0,並列バネ要素k0, 直列バネ要素K1から成る4要素粘弾性モデルを用いた.現在,モデルの修正を含め回帰分析方法を検討中であるが,概ね良好な一致が見られている. 2.バイオハイブリッドデバイス制御の実証:来年度以降の制御対象として,得られた培養筋を,ヒレ揺動機構および逆ピンセット構造に取り付けて,駆動可能なことを確認した.ヒレ揺動機構については,2本培養筋を拮抗配置し交互に電気刺激することで,ヒレが動くことを確認した.逆ピンセット構造についても,培養筋の静止張力がかかった状態で適切な開口部の開きが得られるものが設計可能なことを確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養筋の作製技術を確立した.また,来年度に行う制御実験の対象として,2種類の構造体がこの培養筋によって駆動することを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,以下を予定している. 1.バイオハイブリッドロボットの古典制御:4要素Hillモデルを用いて,培養筋の駆動状況をカメラで捉えてビジュアルフィードバックにより揺動機構等の制御を試みる. 2.ニューラルネットワークによる制御:多層ニューラルネットワークや神経振動子を用いて揺動機構等の制御を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,初代培養筋細胞を用いる予定であり,ラット購入や解剖環境の構築に多額の費用を要するこを見込んでいたが,細胞株を用いた収縮能を持った培養筋作製を確立出来たため,その費用を抑えることができた.一方で,ヒレ揺動機構の変位は確認出来ているが,遊泳には至っていない.そこで,次年度使用額は,この機構の改良のための試作費等に割リ当てることで,目標を達成を目指す.
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