研究課題/領域番号 |
22K18787
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
廣瀬 文彦 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50372339)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
キーワード | 酸化チタン / 薄膜トランジスタ / センサー / UV / 原子層堆積法 / 吸着 / 赤外吸収分光 / 光触媒 |
研究実績の概要 |
従来、トランジスタや電界効果トランジスタなどの電子デバイスは、半導体チャネルに物理的な外因で材料の導電率を変調させることにより電気信号を増幅することを原理としてきたが、本研究では、新しい概念として、半導体チャネル表面での光触媒化学反応を連動させた新概念のデバイスを提案する。そこで薄膜トランジスタ型UVセンサーを実現し、その機構解明を狙う。具体的には、ナノメートルまで薄くした酸化チタンをチャネルにもつ薄膜トランジスタに、UV光を照射することでチャネル表面にて連動的に起きる光触媒反応による強い伝導変調効果を活用した薄膜トランジスタを扱う。UVセンサーとしての動作機構解明と、10000 A/Wを超える世界最高感度の紫外線センサーの実現を狙うものである。 本年度では、前年度に引き続き、様々な構造の薄膜トランジスタを試作し、UV光に対する電気伝導の応答メカニズムを調べ、様々なガス環境下で278nmの紫外光を照射した結果、大気中で数千A/W、真空中で1万A/Wを超える高い紫外線応答を確認しており、高感度化のためのサンプルの環境条件を明らかにすることができた。表面反応の評価として、多重内部反射赤外吸収分光を用いた光触媒反応の観測をした結果、紫外光照射で、表面の吸着水密度は増加し、表面残留炭化水素濃度に変動は見られたものの、変化量が紫外光照射によるチャネル電流の変化を説明できるほどは見られず、当初予想していた光触媒が連携した表面反応モデルについては見直しが必要となった。引き続き、解析を続け実験結果を説明できる表面反応モデルの構築を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外線センサーの高感度化については、いくつかのサンプルにおいて10000A/Wを超えるものもの見出しており、その見通しがつきつつある。残る研究期間をもって、表面反応を明らかにして、動作機構のモデルを提案したい。
|
今後の研究の推進方策 |
化学反応連動型薄膜トランジスタ型紫外線センサーについては、引き続き表面反応のモニタリングを通して、表面反応モデルを明らかにしていく。電子デバイスシミュレータを活用した、吸着物の電気伝導に与える影響をモデル化していく。また、得られたモデルを基に、最適なセンサー構造を考え、さらなる高感度化を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験において難航する部分があり消耗品使用料が少なく、次年度使用額が生じた。 計算シミュレーション部分が遅れており、使用計算ソフトウェアの購入が遅れたことにより、次年度使用額が生じた。 国際会議出場も予定していたが、コロナの影響が見通せなかったため、出場を取りやめたため、次年度使用額が生じた。
|