本研究では,ヒトサポウイルスを増殖可能な汎用細胞を活用することにより,添加実験の実施に必要なヒトサポウイルスの高濃度ストックを調整可能な高効率培養法を構築すると共に,浄水処理におけるヒトサポウイルスの感染性の消長を定量的に評価可能な感染性評価手法を構築し,これらを駆使することにより,これまで全く明らかにされていないサポウイルスの浄水処理性(ろ過における除去特性,消毒における不活化特性)を詳細に把握することを目的とした. 研究期間全体を通じて,添加実験の実施に必要なヒトサポウイルス量を確保可能な高濃度精製ストック調製法を構築すると共に,調整したヒトサポウイルスの高濃度精製ストックを適用した凝集沈澱-砂ろ過処理,凝集-膜ろ過処理の添加実験を実施し,これらの処理におけるヒトサポウイルスの除去特性を詳細に把握することに成功した.また,ヒトサポウイルスの感染性を定量的に評価可能なICC-PCR法(汎用細胞を用いたウイルス培養とPCR法による遺伝子定量を組み合わせた手法)を構築すると共に,構築した手法を駆使することにより,塩素処理,オゾン処理におけるヒトサポウイルスの不活化特性を詳細に把握することに成功した.ヒトサポウイルスの塩素処理に対する耐性は,水系感染症を引き起こす病原ウイルスの中で塩素処理耐性が高いとされるコクサッキーウイルスに比べて著しく低く,実際の浄水場で実施されている塩素消毒により,ヒトサポウイルスの4 log(99.99%)の不活化は十分に達成可能であることが示唆された.同様に,ヒトサポウイルスのオゾン処理に対する耐性についても,代表的な病原ウイルスと同程度かヒトサポウイルスの方が低いことが明らかとなり,実際の浄水場で実施されているオゾン消毒により,4 log以上の不活化が期待できることが示唆された.
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