研究実績の概要 |
大気中のマイクロプラスチックおよびナノプラスチックの分析方法の開発を進めた。熱分解GC-MSにおける標準試料の作成方法について検討を行い、炭酸カルシウムの添加量と分析結果との関係性のデータを集積した。その結果、一部、炭酸カルシウムによる反応熱分解を行うポリマーの再現性が良くないことが分かり、各成分別に最適な炭酸カルシウム添加量を示すことができた。その後、市街地道路近辺および建物の屋上においてエアサンプラー(アンダーセンAN-200)を設置し、大気中のマイクロおよびナノプラスチックを分画して採取した。11 um以上、7.0-11 um, 4.7-7.0 um, 3.3-4.7 um, 2.1-3.3 um, 1.1-2.1 um, 0.65-1.1 um, 0.43-0.65 um別に試料を採取し、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリ塩化ビニル、PET、ポリアミドの分析を行ったところ、成分別に大気中における存在粒径分布が異なることが分かった。ポリエチレンは3.3-4.7 umで含有量が最大となり、ポリスチレンでは0.65-1.1 umで最大となった。一方でPETは11 um以上で最大となったことから、環境中における紫外線などによる劣化の影響が成分別に異なり、それらの結果、極微細化する傾向が異なるのではないかと考察している。
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