研究課題/領域番号 |
22K18833
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久場 隆広 九州大学, 工学研究院, 教授 (60284527)
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研究分担者 |
藤林 恵 九州大学, 工学研究院, 助教 (70552397)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | セシウム / プラズマ処理 / 炭化物 / 吸着 / ドライ賦活化プロセス |
研究実績の概要 |
本研究では、原子力災害時に発生する汚染水を緊急に処理するために、セシウム吸着剤をストックしておくことを提案している。竹炭や活性炭といった粒状炭化物に酸性官能基を効率的に導入できるプラズマ処理装置の開発を目指している。ドライ状態で、吸着剤の性能がどの程度維持し得るのか (吸着能維持性)、また、そのバックアップ性を評価する。研究目的は、(1)プラズマ賦活化によるセシウム吸着能の改善とそのための装置開発、 (2)セシウム吸着剤の吸着能維持性とバックアップ性能の評価である。 (1)大気圧非平衡プラズマ処理法を竹炭や木炭に適用したところ、全く賦活化されなかった。走査型電子顕微鏡SEMによる観察によると、プラズマ処理の間、炭化物が激しく振動するため、表面が摩耗することが確認された。一方、大気圧非平衡プラズマ処理法を市販の活性炭 (ヤシ殻) に適用したところ、熱硝酸処理といった化学賦活化法と比較すると、その比Cs吸着量は1/5~1/10程度劣ることを確認した。その点を克服するための装置開発が必要であるという結論に達した。一方、大気圧非平衡プラズマ処理の際の条件 (処理時間、電圧、酸素ガス流量など) をパラメータとし、その比Cs吸着量を予測可能な重回帰式の作成を行った。 (2)最も優れた吸着能を示す条件の下、プラズマ賦活化活性炭を作成した。プラズマ賦活化活性炭を大気条件下で保持し、経時的にその吸着能の変化を評価した。数カ月のオーダーでは吸着能が低下することが分かった。再度のプラズマ賦活化の必要性やその効果を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究『減容性・バックアップ性を備えたCs吸着材のための粒状体プラズマ処理装置の開発』の研究期間は2年間である。その当初の研究目的は、(1)プラズマ賦活化によるセシウム吸着能の改善とそのための装置開発、 (2)セシウム吸着剤の吸着能維持性とバックアップ性能の評価である。第1年度において、以下の成果が得られた。おおむね順調に進展している。 (1)大気圧非平衡プラズマ処理法を市販の活性炭に適用したところ、熱硝酸処理といった化学賦活化法と比較すると、その比Cs吸着量は1/5~1/10程度劣ることを確認した。大気圧非平衡プラズマ処理の際の条件 (処理時間、電圧、酸素ガス流量など) をパラメータとし、その比Cs吸着量を予測可能な重回帰式の作成を行った。 (2)最も優れた吸着能を示す条件の下、プラズマ賦活化活性炭を作成した。大気条件下でその活性炭を保持し、経時的にその吸着能の変化を評価した。数カ月のオーダーでは吸着能が低下することを確認した。現在の大気圧非平衡プラズマ処理装置を改良し、また、他種の活性炭あるいは種々の条件下で作成した竹炭や木炭を用いて賦活化処理を行い、同様な実験を行うことで、再度、セシウム吸着剤の吸着能維持性とバックアップ性能の評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本研究『減容性・バックアップ性を備えたCs吸着材のための粒状体プラズマ処理装置の開発』の研究期間は2年間である。その当初の研究目的は、(1)プラズマ賦活化によるセシウム吸着能の改善とそのための装置開発、 (2)セシウム吸着剤の吸着能維持性とバックアップ性能の評価である。第1年度において得られた成果を基に、以下の様に、今後、研究を推進する。 (1)大気圧非平衡プラズマ処理法を市販の活性炭に適用したところ、熱硝酸処理といった化学賦活化法と比較すると、その比Cs吸着量は1/5~1/10程度劣ることを確認した。大気圧非平衡プラズマ処理の際の条件 (処理時間、電圧、酸素ガス流量など) をパラメータとし、その比Cs吸着量を予測可能な重回帰式の作成を行った。同様な解析を行うことで現有の装置を如何に改良すべきかを提示し、粒状体プラズマ処理装置の開発につなげる。 (2)大気条件下で、プラズマ賦活化活性炭は経時的にその吸着能が低下した。現在の大気圧非平衡プラズマ処理装置を改良し、また、他種の活性炭あるいは種々の条件下で作成した竹炭や木炭を用いて賦活化処理を行い、同様な実験を行う。また、大気条件下に加えて、賦活ガス下での吸着能維持性とバックアップ性能の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ホッティングスターラー (ケニス、HSM-60、税込み定価275,000円) を購入する予定であった。しかしながら、購入した真空ガス置換電気炉に必要な物品費が予想以上に高額であったため、ホッティングスターラーを購入するための経費が不足した。次年度使用額125,008円を令和5年度請求額2,000,000円と合わせて、その一部をホッティングスターラーの購入に使用したい。
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