研究課題/領域番号 |
22K18835
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
朝倉 巧 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 准教授 (60778207)
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研究分担者 |
清家 弘治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (20645163)
水野 勝紀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70633494)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 低生成物 / 巣穴形態 / 水中超音波 / 音響数値解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,巣穴内部の形状,特にその長さ,直径,進展角度等を,短時間に計測できるスクリーニング手法の開発を目的とする.巣穴開口から内部へ広帯域超音波を送信し,その後受信した巣穴内部からの反射波より巣穴内部の長さや傾き,内径といった概形を推定する.これが実現できれば,巣穴内部の状態をより短時間かつ非破壊的に計測可能となることが期待できる.本年度は下記の検討を実施することによって,短時間に巣穴の長さ及び進展方向を同定できる手法確立のための知見を得た. はじめに,アクリル模型による室内実験により提案手法を評価し,I, U, Y 字状の模型において相対誤差8%以下の相対誤差で長さ推定が可能であることを確認した.その後,室内実験と実地調査より,実堆積物上における巣穴の長さ及び巣穴模型の伸展方向の推定可能性について,また時間領域差分(FDTD, Finite-difference time-domain)法を用いた2 次元シミュレーションを行い,本手法に適した周波数帯についても検証した.提案手法により,ヤマトオサガニの巣穴にて187 mmまでの長さを測定,また泥土を用いた模型実験より,巣穴の伸展方向を4°以下の誤差にて推定できることを確認した.さらに,2次元FDTD解析 によるシミュレーションより,100 kHz以下の比較的低い周波数帯を中心周波数とする音源を用いることで巣穴底部からの反射波をより判別しやすくなる可能性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進展しており,特段の問題がない.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,提案したスクリーニング手法の基本原理の有効性を検証することができたが,実用化するための知見が不足していた.特に,200 mm以上の長さを有するような巣穴の場合には用いる超音波の減衰や散乱による精度低下が懸念され,また巣穴の直径,あるいは容積については検討できていない.そのため,本年度は,長さ方向の同定精度向上,音波の共鳴原理を用いた直径および容積の推定手法の検証,音波の散乱を軽減するための70 kHz 付近の周波数帯を使用した巣穴計測手法の検証を行う.さらに,現在は海中に限定していた計測手法を,陸上に存在する巣穴にも適用するため,水中超音波に代わり,空中超音波を用いた同定手法についても基礎的検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,既に研究室にて保有していた計測器による計測,および保有している計算機による音響伝搬を実施可能であり,また実施内容もそれらの保有設備で賄える基礎的検討であったため,次年度使用額が生じた.今年度,さらに拡張した解析実施のための高性能計算機の購入,および測定プローブの多チャンネル化などのために次年度使用額を使用予定である.
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