研究課題/領域番号 |
22K18838
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榎田 竜太 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20788624)
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研究分担者 |
藤田 皓平 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40648713)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | NSBC / 非線形制御 / 非線形履歴特性からの応答推定 / 入力波同定 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究目的①:構造物の重篤応答を誘発する地震波の逆解析的同定とその発生の現実味の評価と②発生確率が高い重篤応答を誘発する地震波を用いた振動実験の有効性の検証、を実現する課題に取り組んでいる。具体的な内容は『課題A:構造物に生じ得る重篤応答の生成』、『課題B:非線形構造物に重篤応答を誘発する地震波の同定』、『課題C:同定された地震波を用いた振動実験』である。 初年度は、課題Aと課題Bの基礎的検討を行った。課題Aの構造物に生じえる重篤応答を、構造物内に設置される機器の応答から決定する方法と、構造物の非線形履歴特性(トリリニア)を直接考慮することでその履歴を生じさせる応答を作成する基礎技術を構築した。実際に、対象とする単層・3層非線形構造物にこの想定される重篤応答を引き起こす入力波を、非線形制御手法であるNonlinear Signal-Based Controlで同定し、その入力波によってその重篤応答が実際に引き起こされることを確認した。なお、単層構造物の場合には、既知となっている応答と履歴特性に基づく力のつり合い式から,その応答を引き起こす入力波を同定できることを示した。一方,多層構造物の場合には,この力のつり合い式に基づく入力波同定はの適用が難しく、非線形制御手法による同定が適していることを示した。また,重篤応答の作成に用いる履歴特性や、その応答が生じえる階層を変更することで、異なる入力波が同定されることを実証した。同定されたそれぞれの入力波の特性(振幅、振動数成分)を評価することで、重篤応答が生じやすい階層や履歴特性を評価できることも併せて示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に計画していた通りの研究を実施でき、期待していた通りの結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に期待通りの成果を得ることができたため、今後の研究推進の方策は、当初の予定通りに進める。具体的には、課題A、Bの検討内容(想定する構造物の履歴特性等)をさらに充実させた解析的検討と、実験的検証である課題Cを本格的に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度では,下記の2点の不足自体が生じたため,予算の使用が変更になった.一つ目は,数値解析的検討段階において,高速演算計算機に要求される性能に大幅な修正が必要になった.二つ目は,本研究の実験的に検証に用いる試験装置の一部が故障してしまったため,実験の遂行の目途が立たなくなってしまった.一つ目の問題に対しては高速演算計算機の新たな仕様をまとめ,次年度に適切な計算機を調達する.2つ目の問題に対して,試験装置の修理がほぼ完了し,予定している実験的検証が実施できる見込みが立った.この実験の遂行を目指し,必要な備品等を調達する予定である.
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