研究課題/領域番号 |
22K18843
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉敷 祥一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (00447525)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 建築構造 / 実験装置 / 計測方法 / 精度 / 多軸加力 |
研究実績の概要 |
これまでに台湾国立地震研究所(NCREE) の大型2軸加力装置での実際の大型実験、および加力・計測精度の調査を行っている。この装置では可動テーブルと鉛直アクチュエータの接触面での摺動抵抗力が、水平力のデータに混入し、水平アクチュエータのデータから、推測した摺動抵抗力を除去することで試験体の反力を評価している。しかし、本試験体の出荷試験と、同条件でのNCREEの試験の結果が著しく異なる問題があった。他の現存する大型装置の全てが同様な状況にあった。 本年度は、積層ゴムと4本の水平リンクを採用した新たな実験手法を採用した実験装置に関して、実験装置の建設と並行して構成部材の性能確認を実施した。具体的には、下記の4項目について検討を行った。(1)剛強な反力梁を支持する直径650mmの天然ゴム系積層ゴムの微小変形の線形性、水平剛性の面圧依存性・振幅依存性が確認できた。(2)剛強な反力梁を積層ゴムにて支持してPC鋼より線によりプレストレスを導入する過程での鉛直方向変位の推移を取得することに成功した。(3)プレストレスと積層ゴムにて固定された反力梁の水平方向剛性の微小変形(1~5mm)領域における線形性と水平剛性の理論値との対応が確認できた。(4)油圧ジャッキを挿入して別途設けたロードセルの計測値と水平リンクによる計測値が合致することを検証した。 一方、鉛直リンクを用いた実験装置については、1/3サイズの縮小モデルによる動的実験の計測データを分析した。さらに有限要素解析によりロードセルと太い支持部材の設計検討結果について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
免震・制振部材を対象とした世界初の荷重計測方法について、実験的な検証を進めている。実際に実現した積層ゴムを活用した実験装置については、建設と並行して様々な実験を計画して構成部材の性能確認を行っている点、現在も装置の制御や計測精度の向上に向けた実験を計画・実施を繰り返し点からも「当初の計画以上に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
動的実験時に生ずる慣性力に対しても高精度な荷重計測が実施できることを検証する予定である。また、鉛直荷重についても制御、計測の両面での実験を計画している。 既に天然ゴム系積層ゴムアイソレータを対象とし、微小変形領域を含めた各種依存性に関する実験を実施している。これらに新たな実験装置を活用した実大実験のデータを加え、更に試験体の寸法がもたらすスケール効果についても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の実験装置を活用した静的実験を行ったため、初年度における実験に要する費用を最小限に抑えることができた。次年度は縮小試験体を対象とした動的実験を実施可能な再度構築する必要があるため、次年度使用額が生じた。
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