これまでに台湾国立地震研究所(NCREE) の大型2軸加力装置での実際の大型実験、および加力・計測精度の調査を行っている。この装置では可動テーブルと鉛直アクチュエータの接触面での摺動抵抗力が、水平力のデータに混入し、水平アクチュエータのデータから、推測した摺動抵抗力を除去することで試験体の反力を評価している。しかし、本試験体の出荷試験と、同条件でのNCREEの試験の結果が著しく異なる問題があった。また、他の現存する大型装置の全てが同様な状況にあった。本研究の目的は、日本にて実現した大型加力装置に対し、他の大型装置の問題を解決した世界最高の計測精度を確認するための検証実験を行うと共に、優れた反力計測システムのオプションを創案し、具体化することである。 本年度は、積層ゴムと4本の水平リンクを採用した新たな実験手法を採用した実験装置に関して、実験装置の建設と並行して構成部材の性能確認を実施した。具体的には、下記の3項目について検討を行った。(1)試験機の最大鉛直荷重に対する変位を詳細に計測し、反力梁の挙動を把握した。(2)試験機の最大水平性能(振動数、振幅)に対する実験を行い、計測システムの妥当性を確認した。(3)多種多様な積層ゴム支承を用いた静的・動的実験を行い、そのデータ分析から試験機に内在する摺動抵抗力、慣性力の除去方法について検討を行った。 その他、鉛直リンクを用いた実験装置については、1/3サイズの縮小モデルによる動的実験の計測データの分析、および有限要素解析によりロードセルと太い支持部材の設計検討結果についての分析を継続して行った。
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