研究課題/領域番号 |
22K18856
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
稲守 孝哉 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50725249)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 軌道力学 / 宇宙構造物 |
研究実績の概要 |
近年、コンステレーションやフォーメーションフライトといった複数の衛星によるミッションが検討され、宇宙干渉計など様々なアプリケーションが期待されている。これらの達成には複数の衛星における相対位置と相対姿勢を調整、維持することが重要となる。これまで、相対位置の制御にはスラスタを用いた軌道制御手法が検討されてきた。本研究では複数の衛星を伸展ブームで接続し相対位置や姿勢を変更する手法について検討する。伸展ブームによりミッションに必要な相対位置や相対姿勢の維持を行う。衛星を伸展ブームで接続した場合、軌道上において相対軌道と相対姿勢の運動が連成する。本研究では特に伸展ブームによる並進・回転運動の連成を考慮して、電磁コイルと地磁場からの電磁力により姿勢を制御することで相対位置と姿勢を制御する手法について検討する。今回扱う構成で精度を高めるためには軌道運動による摂動力や宇宙環境による影響から生じる変形、スピン姿勢運動により生じる異なる軸の連成振動といった軌道力学と姿勢力学の両方の観点がより重要となる。そこで、従来、衛星を質点として扱うことで軌道運動と姿勢運動をそれぞれ捉えてきた衛星の運動について、本研究では軌道力学において姿勢運動も考慮できる広がりを持つ連続体として扱えるよう検討する。今年度はHillの方程式で表現される相対軌道運動における伸展ブームの運動の定式化と数値シミュレーションによる、衛星とブームがスピンしている場合の挙動について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた相対軌道運動における伸展ブームの運動の定式化と数値シミュレーションによる検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
変位が微小な一般的な線形振動と異なり、本研究では伸展ブームが姿勢スピンにより角運動量をもつため複数の機体軸の振動が連成する。また軌道運動の影響もスピン運動に影響を与える。伸展ブームの運動を軌道・姿勢力学の両方の観点から明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた相対軌道運動における伸展ブームの運動の定式化と数値シミュレーションによる検討を行った。検討にあたって、当初、購入を予定していたワークステーションについて、別の研究で使用していたものを流用したため、今年度購入の必要がなかった。 次年度は軌道運動の影響もスピン運動に影響を与える。伸展ブームの運動を軌道・姿勢力学の両方の観点から明らかにするべく研究を進める予定である。数値シミュレーションを複数回して検討するために複数のワークステーションが必要となるため、その購入資金として検討している。
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