研究課題/領域番号 |
22K18858
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長野 方星 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10435810)
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研究分担者 |
渡邉 紀志 名古屋大学, 工学研究科, 特任講師 (60569979)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 熱制御 / 冷却 / 太陽熱利用 |
研究実績の概要 |
これまで太陽熱入力により制約を受けていた宇宙機の熱設計において,太陽熱を積極的に利用する新たな熱制御方法を提案し,宇宙機熱設計の自由度を飛躍的に向上させることを提案する。具体的には,太陽熱を積極的に吸収し,得られる高温熱源から冷却熱源をパッシブ(電力を用いず,機械的要素も無い)に作り出す冷却熱サイクルの原理を確立し,地上で実証することを研究目的とする。 初年度は無動力式冷却サイクルの物理モデルの構築ならびに地上,大気環境での実験検証を行った。物理モデルに関しては構造,流動形態を解析し,熱損失や流体同士の熱移動を考慮した。また,物質移動解析により蒸発量,吸収量も予測可能なモデルとした。さらに各要素での圧力損失と重力の影響を考慮したモデルを構築し,仮定するパラメータが少ないモデルを構築した。実験検証に関しては,地上用の冷凍機を改良し,温度分布,圧力,冷媒流量を計測できる実験装置を構築した。アンモニア,水を作動流体と選定し,水素をチャージして圧力を調整した。恒温槽を用いて動作試験を行い,環境温度依存性(0℃~40℃)を含めて検証を行った。温度分布は実験と計算結果でおおむね良好な一致が得られた。一方で,蒸発器のみ10℃以上の差異が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年計画の半分の目的を達成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は実験と計算結果のコリレーションによりモデルの高精度化を目指す。次に確立した解析モデルを用いた冷凍システムを設計,試作し,大気雰囲気での動作検証を行うとともに,宇宙模擬環境下での動作特性実験を行う。また,得られた結果より成績係数を見積もる。次に,作動流体,幾何学形状を変えたパラメータ解析を行い,性能を支配する要素ならびに性能上限を決定するパラメータを明らかにし,性能向上に向けた指針を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に新たな冷凍サイクルシステムを構築するために予算が想定よりも必要となったため,次年度のための予算を確保した。
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