研究課題/領域番号 |
22K18862
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
厚井 高志 北海道大学, 広域複合災害研究センター, 准教授 (40845294)
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研究分担者 |
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 流木災害 / LiDAR / 厚真町 / 白老町 / 渓流生態系 / 対照流域法 / 流量観測 / 濁度観測 |
研究実績の概要 |
研究対象とするハビウ川上流域では,2018年の北海道胆振東部地震により発生した斜面崩壊時に生産された流木が大量に残存している。これらの残留流木の二次移動状況を追跡調査するため,全流域をカバーするUAV空撮画像を約1カ月おきに取得して,流域のオルソモザイク画像を作成し,流木の移動状況を判読した。合わせてSfM解析によるデジタル表層モデルも作成して,崩壊地を中心とした土砂移動状況も把握した。さらに,流域内に残存する滞留流木が流域内の渓流環境に与える影響を調査するために,ハビウ川上流域の管理流域および非管理流域の流域出口付近にそれぞれ量水堰と濁度計を設置し,流量および濁度,量水堰に堆積する掃流砂量の連続観測を開始した。なお,量水堰の規模設計にあたっては,流域の地形情報を考慮して決定した。飛生川においては現地調査に必要な資料の収集を行うとともに,入林に係る必要な申請を行ったうえで現地踏査を実施して,流木の発生状況を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に必要な備品の調達,現地調査に必要な手続きに時間を要したため現地観測データ取得開始に遅延が発生した。現時点では,調査対象地での観測機器の設置,および現地調査に着手して観測データも取得しはじめている。
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今後の研究の推進方策 |
飛生川流域において,流木の堆積位置,堆積形状を把握する。把握にはUAVで取得した航空写真画像から,SfMソフト(Pix4Dmapper)を用いてオルソ画像,地形標高モデル(DSM)を作成する。作成したDSMから読み取った渓床勾配や河道幅に応じた区域を設定し,オルソ画像から流木堆積位置,堆積形状を把握する。堆積形状は単木,Logjam(複数の流木が複雑に絡まって堆積)に区別し,Logjamは現地でLiDAR画像を取得して3Dモデル化し,本数,材積,高さを計測する。さらに,残留流木が流域環境に与える影響評価を行う。ハビウ川上流域(非管理流域,管理流域)において対照流域法により流木の有無に着目して流域環境を評価する。流域環境を計る指標(正規化植生指数NDVI,流出土砂量(濁度))を定期計測して流域特性を比較する。なお,濁度から定量的な土砂量を算定するために自動採水器を設置して,降雨出水ベント時の土砂量を計測する。また,非管理流域,飛生川流域では,非破壊で木材の状態を把握できるピン貫入試験機を用いて流木腐朽度を計測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者が所有するUAVおよびセンサによるUAV-LiDAR計測を計画しており,地表面のレーザープロファイラデータをより精度良く取得可能な落葉期の調査を予定していたが,共同研究者が2022年10月より長期海外調査に入ったため,計画していた時期の調査が困難となり順延した。また,流量観測の実施を目的とした量水堰の設置にあたり,材料費価格の高騰に伴う資材確保,設置許可に時間を要したことにより,付随する調査観測機器購入の遅れ,およびこれらの設置に係る現地調査の回数が当初計画よりも減少した。
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