研究課題/領域番号 |
22K18863
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小森 大輔 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50622627)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 低頻度巨大災害リスク評価 / 洪水常襲地 / 寺院の安全性 |
研究実績の概要 |
今年度は、来年度および再来年度に実施する現地調査および寺院の安全性分析に向けて、洪水常襲地の抽出および洪水氾濫解析の準備を進めた。 洪水常襲地の抽出に関しては、過去の浸水域(中村・小森ら, 2012)を基に、洪水常襲地を抽出しデータベース化した。現地研究協力者とオンライン研究会を行い、寺院の地理空間情報の収集・データベース化を進めた。対象地域として、チャオプラヤ川下流域の洪水常襲地およびそれ以外の流域として上流のチェンマイ市の洪水常襲地を選定し、対象地域に古くから建立する寺院を特定した。現在、特定した寺院における浸水実績に基づく数百年スケールの低頻度巨大災害リスクを推計するために、水害地形分類図(大矢ら, 1989)を基に、現地研究協力者と連携して水害地形分類に基づき特定した寺院の分類を進めている。 洪水氾濫解析の準備に関しては、これまでに収集した現地現業機関による過去50年分の水文気象観測データより確率降水量および確率流量を算定した。これらの確率水文量を基に洪水氾濫シミュレーションを行うために、チャオプラヤ川流域における土地利用情報を収集・データベース化し、一般公開され世界で広く利用されている降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)を整備した。現在、大規模ダムによる洪水軽減効果が小さいチェンマイ市を対象に、整備したRRIモデルを適用しモデル推定精度の検証を進めている。また、既往最悪洪水を再現するために、現地研究協力者と連携してチャオプラヤ川下流域が開発される20世紀以前の土地利用情報の収集を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、現地調査および寺院の安全性分析に向けて、洪水常襲地の抽出および洪水氾濫解析の準備を進めた。 洪水常襲地の抽出に関しては、過去の浸水域を基に洪水常襲地を抽出するとともに、現地研究協力者と連携して寺院の地理空間情報の収集・データベース化を進め、本研究の対象地域として、チャオプラヤ川下流域およびチャオプラヤ川上流域に位置するチェンマイ市を現地研究協力者と共同で選定した。来年度の現地研究協力者との合同現地調査に向けて研究の進め方を議論・整理した。 洪水氾濫解析の準備に関しては、これまでに収集した現地現業機関による過去50年分の水文気象観測データより降水量データ、モデルパラメータおよび検証データを整備し、確率降水量および確率流量を算定した。対象流域における土地利用情報をデータベース化し、一般公開され世界で広く利用されている降雨流出氾濫モデル(RRIモデル)を整備した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、特定した寺院における浸水深の確率評価、および特定した寺院の過去の被災履歴・嵩上げ高さの現地調査を実施し、寺院の安全性の定量化に取り組む。 洪水氾濫解析に関しては、現在実施しているRRIモデルの検証を完了させるとともに、現地研究協力者と連携してチャオプラヤ川下流域が開発される20世紀以前の土地利用情報を整備し、特定した寺院における浸水深の確率評価を実施する。 現地調査に関しては、上述した特定した寺院における浸水深の確率評価を参照しながら、対象寺院の過去の被災履歴・嵩上げ高さの現地調査をするとともに、現地自治体や地域住民に被災経験の有無や自然災害に対する意識に関してヒアリングを現地協力研究者と合同で行う。 寺院の安全性の定量化に関しては、特定した寺院の安全性を、現地調査で得られた寺院の嵩上げ高さと浸水深の確率評価を用いて定量化する。 これらの研究活動は、都度、オンライン会議システムにて現地協力研究者と研究会を行いお互いの研究進捗を共有し、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、Covid-19パンデミックの影響を鑑み、タイでの現地協力研究者との合同現地調査を来年度に複数回実施することとしたため次年度使用額が生じた。合同現地調査を自粛した分、洪水常襲地の抽出および洪水氾濫解析を予定より進めた。
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