研究課題/領域番号 |
22K18872
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 健介 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10192668)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 津波 / インフラサウンド / 微気圧計 / 乱流 / トンガ火山噴火 / ラム波 / 天体衝突 / 逆問題 |
研究実績の概要 |
[1] MEMS容量式気圧センサDPS310を用いた小型高感度気圧計を100個作成した。ただし、コントローラーとしては、当初計画の Raspberry PI ではなく M5Stack ATOM Lite を使用している。理由はRaspberry PI の入手性が非常に悪くなると同時に価格が高騰したためである。それでも性能としては同等以上のものを確保することができた。 [2] 制作した小型高感度気圧計を、九大伊都キャンパス内に集中的に配置して試験観測をおこなった。これにより、多数の装置の同時並行観測の経験(時刻精度の確保、データ通信の継続性の確保など)が蓄積されつつある。また、気圧計群のデータの時空間解析から、あたらしい原理の風速測定システムの発想が生まれつつある。 [3] 気圧計群の観測から、津波起源のラム波を自動検出する方法について、逆問題およびデータ同化の枠組みに基づく検討を進めている。 [4] 2022年1月のトンガ海底火山噴火からの気圧擾乱およびこれに付随して生起した津波について、数値シミュレーションと理論的検討、および高知工科大学の微気圧センサデータによる観測の検討を行った。この現象は、津波起源の大気波動と共通する性質を持つものであり、本研究の進行に寄与した。 [5] グローバルに伝播した大気波動として顕著であった、1908年の天体衝突事象(ツングースカイベント)に関して、文献調査と理論的考察をおこなった。これは、天体衝突に関する防災(プラネタリーディフェンス)の観点だけでなく、惑星科学的にも重要になる可能性がある。 なお、以上のうち[1][2][3] は、九州大学の学部学生、大学院学生の協力で進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に用いる装置の作成と性能評価は概ね計画通りに進行している。 結果の解析にもちいる理論的枠組みの検討も概ね計画通りに進行している。 本研究では津波が励起する大気波動の検知を想定しているが、それ以外の事象(火山噴火、天体衝突)についても考察が広がっていることは、当初計画には無い発展であり、今後の展開を確保したい。 理論的枠組みに関する論文の作成は当初計画より遅れており、次年度に投稿、出版を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
微気圧計は当初計画より低い単価で作成できたので、計画よりも多数確保する方針である。 九州大学付近に在住する学生の協力による分散的観測は、計画よりも早く、2年目から開始することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
気圧センサーのコントローラとして Raspberry Pi の代わりに M5Stack ATOM Lite を使用することは比較的大きな技術的変更であり、これに付随する資金計画の不確定性を担保する必要があった。 また、理論的枠組みに関する論文の投稿が次年度にずれこんだため、これに関わる費用を1年目には使用しないこととした。 研究の2年目において、上記論文および予備的観測結果に関する論文の投稿と出版を行うので、その経費を請求する。また観測は、九州大学伊都キャンパス内だけでなく、学生居住地における観測も開始する。そのために、観測装置を増産する予定であるので、その経費を請求する。データのアーカイブを定常的に行うために大学院学生をアルバイトとして雇用する予定であり、その経費を請求する。理論的検討の補助として計算機実験を予定しており、そのための計算機使用料を請求する。
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