研究課題
本研究の目的は、高温相であるため結晶粒超微細化が困難であった炭素鋼のオーステナイト相の結晶粒超微細化に挑戦し、平均粒径1μm以下のオーステナイト組織を作製する事である。中Mn低炭素鋼に対して、巨大ひずみ加工した低温相の急速加熱・急速冷却、またはA3温度直上での強加工による結晶粒超微細化を試みる。原子拡散が活発となる高温では、転位の消滅(回復)や再結晶・粒成長が短時間で進行するため、高温相の結晶粒超微細化は困難である。金属・合金の高温相 の結晶粒超微細化を達成したという報告はなく、本研究は挑戦的研究として大きな意義を有している。オーステナイトは鋼の熱処理の基本となる組織であり、結晶粒超微細化を達成できれば、超微細粒オーステナイトからの相変態という新しい研究分野が開拓される。また、卓越した力学特性を有する最終組織が実現でき る可能性が高い。2023年度は、前年度に引き続き3-6wt%のMnを含む中Mn低炭素鋼を用い、高温相オーステナイトの結晶粒超微細化を試みた。Mnはオーステナイト安定化元素であり、Mn添加によりオーステナイト単相領域の下限温度であるA3点(純鉄では 911°C)が低下する。試料に低温で巨大ひずみ加工を施し、ソルトバスを用いたA3点直上温度への急速加熱・短時間熱処理を施した。また一方、中温域での多段加工を含む加工熱処理を施し、動的相変態と動的再結晶を組み合わせた組織制御を試みた。いずれの場合も平均結晶粒径数百nmの超微細粒オーステナイト組織を得ることに成功した。これらの結果から派生して、純コバルトの高温FCC相を超微細化し、室温で安定化することにも成功した。さらに、硬質相と軟質相から成る組織を高温加工した場合に生じる動的相変態が、硬質相への応力(荷重)分配による男性エネルギーの増大により説明できることを、Zr合金およびTi合金において見出した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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