研究課題/領域番号 |
22K18899
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田原 正樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80610146)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 拡散変態 / 変位型変態 / チタン合金 / マルテンサイト変態 |
研究実績の概要 |
本研究は研究代表者が発見した新しい拡散-変位型相変態を利用した高温形状記憶材料の創出を目的としている。この相変態はチタン合金における等温変態であり、直方晶構造を経由することが特徴である。従来のチタン合金においては直方晶構造は原子無拡散のマルテンサイト変態によって生成するものであった。研究代表者は、特殊なチタン合金において加熱または高温での保持によって原子拡散を伴いながらこの直方晶構造の相が現れることを見出した。この相変態は原子拡散を伴う拡散型変態であるが、同時に変位型変態の性質も持ち合わせていることを利用して、形状記憶効果の発現が期待される。一般に広く用いられれている形状記憶効果とは、原子無拡散のマルテンサイト変態を利用したものである。本研究では、このような従来の形状記憶合金とは全く異なるメカニズムで形状記憶効果の発現を目指す。 本年度は、これまでに確認された形状回復挙動が具体的にどのような相変態機構によるものであるかを明らかにする研究を実施した。動作温度が800℃程度と高温であるため、まずはex-situ測定を中心に行った。具体的には、Lab用X線回折装置とSEM-EBSDである。いずれの測定でも、直方晶構造の相が分解してBCCのβ相とHCPのα相になり、さらに高温ではBCCのβ相単相となった。これらの相変態のうち、α+β相からβ単相になる温度が形状回復試験の結果から得られた動作温度とよく一致することがわかった。また、SPring-8におけるin-situ測定も実施したところ、上記の結果を裏付けるデータを得ることができた。また、単結晶試料を用いた形状回復挙動の評価も予定通り実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りにex-situおよびin-situ測定を実施することができた。また、得られた結果も研究開始当初に想定していた通りであり、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、繰り返し動作時の安定性を評価するとともに、金属組織観察を通して特性変化の原因を探る。また、本現象をより多くの材料でも発現させるための条件について解析・考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の想定よりも使用する試料を小さくすることができたため、各種実験消耗品の使用量を削減できた。次年度は本研究でも使用する装置・部品を他の研究費と合算して購入する予定である。
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