研究課題/領域番号 |
22K18909
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 玄器 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (30609847)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | ヒドリドイオン導電 / 電解 / 物質変換 |
研究実績の概要 |
層状ペロブスカイト型構造のヒドリドイオン導電体については、元素置換等を施すことによって高導電相の低温安定化に成功し、実用レベルの導電性が得られる温度範囲を400 ~ 250℃に拡張することができた。また、ホットプレスによる電解質材料の焼結を試みた結果、350 ~ 400℃で粉体の焼結が進行することを確認し、密度を95%まで向上することに成功した。 蛍石型構造のLa水素化物へのアルカリ土類金属ドープによって電子伝導性が抑制され、固体電解質作動が可能になることを見いだした。合成した固溶体を固体電解質に用い、TiとLaH3を正極と負極にしたLaH3|La水素化物固溶体|Tiで構成される全固体型のセルを作製し、定電流放電測定を実施した結果、理論容量まで放電することに成功した。放電後のTiのX線回折図形から、TiがTiH2まで水素化していることを確認し、合成した固溶体がH-導電性の固体電解質として作動している明確な証拠を得た。 メカノケミカル法で合成したBaTiO3-xHx(以下、BTOH)がアンモニア合成触媒として優れた活性を示すことを見いだした。BTOHの触媒活性はすでに報告されていたが、メカノケミカル法の方が優れた活性を示した。コヒーレントX線回折イメージング測定の結果、メカノケミカル法で得られたBTOHの粒子には複数の面間隔の存在が確認され、高度に結晶が歪んでいることが明らかになった。今後は、結晶歪みと触媒活性との関連性を調べていく。
以上、固体電解質と触媒電極双方において物質開発の進展が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体電解質開発では、中温域で実用レベルの導電率が得られる温度範囲が拡張し、材料の焼結体の調整も可能になったことから250 ~ 400 ℃でのデバイス作動に向けた準備が整った。また、電極材料についても、メカノケミカル法によって触媒活性が向上する傾向を捉えたことから、物質変換の触媒電極への応用可能性が見えてきた。
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今後の研究の推進方策 |
試作デバイスを作成し、250 ~ 400℃での水素濃淡電池の起電力測定を行ってデバイス構成を調整する。その後、反応ガスを通じ、触媒反応の電気科学制御の可否を検証する。 触媒性能が得られた物質を中心に、触媒電極としての応用可能性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
異動による実験室移転に伴い、一時的に研究がストップした。予算の効果的な活用のために、次年度に予算の一部を繰り越した。
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