研究課題/領域番号 |
22K18913
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
新垣 篤史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10367154)
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研究分担者 |
吉野 知子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30409750)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 物質輸送 / バイオミネラリゼーション / 遺伝子発現制御 / 生体機能利用 |
研究実績の概要 |
本研究では、細菌の遺伝子組換えによって細胞機能改変し、生体内物質輸送に利用する革新的な細胞型キャリアを構築することを目的としている。磁性細菌は、細胞の中に直鎖状に並んだ磁性ナノ粒子を合成し、鞭毛モーターにより水中を泳動する。したがって外部から磁場を加えることで、人為的に細胞の泳動方向を操作することが可能である。本研究では、研究代表者らが確立した遺伝子組換え技術を駆使して、磁性細菌の磁性ナノ粒子合成能と細胞膜組成を改変し、磁場への高い応答性と自発的な運動能を備えた細胞型キャリアの構築を目的としている。磁性細菌における磁気微粒子の合成プロセスには複数のタンパク質が関与しており、遺伝子から発現したタンパク質が順序立てて発現することで、連続的に磁性ナノ粒子合成が行われている。本年度は、磁性細菌の細胞の外から誘導剤を添加することによって、磁性ナノ粒子合成に関わる遺伝子の発現制御が可能な細胞の構築を行った。誘導剤の添加により制御可能なオペレーター配列をプロモーター部位に連結し、磁性ナノ粒子合成に関わる遺伝子オペロンの発現が制御可能な複数の細胞を作製した。また、磁性ナノ粒子合成に関わる遺伝子の発現についても確認を行い、誘導剤の添加量と添加タイミングの最適化を行った。磁性ナノ粒子の数とサイズの制御が可能なことを示し、これによって細胞の磁場応答性が向上することを確認した。また、磁性細菌の遺伝子組換えによる細胞膜組成の改変にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、磁性ナノ粒子合成に関わる遺伝子の発現制御系によって細胞の磁性ナノ粒子合成能を改変し、細胞の磁場応答の向上を確認した。また、細胞膜組成の改変に着手し、細胞型キャリアの構築に向けた基盤となる技術を整備した。当初の計画通り、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、下記の研究項目について検討を行う。 -細胞の磁場応答性の評価 -細胞の膜組成改変
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