研究課題
本年度は、母体-胎児間で起きる物質移行の定量的な評価を可能にするために、主に平面状の胎盤オルガノイドの作製を試みた。昨年度に見出した球状の胎盤オルガノイドの培養条件をもとに、ガラス化コラーゲン膜上でヒト胎盤幹細胞を培養したところ、未分化のTS細胞の上にST細胞層がほぼ100%の被服率で形成されていることがわかった。平面状オルガノイドの切片観察、SEM観察から、オルガノイド表面に絨毛様構造が形成されていることを確認した。さらに、反対側のコラーゲン膜上に血管内皮細胞層を加えたバリアモデルも作製し、経上皮電気抵抗(TEER)を測定したところ、血管内皮細胞層が無しの場合と比較してTEER値が上昇しており、バリアの堅牢性が向上することがわかった。次にこのバリアモデルを用いて、胎盤透過性情報のあるモデル物質の透過性を調べた。母体血中から胎児血への移行率が高いことで知られているアンチピリン(解熱鎮痛薬)やカフェインはバリアを良く通過した。。一方で、グリホサート(除草剤)は比較的透過しなかった。胎盤透過性に関するこの傾向は、娩出されたヒト胎盤を用いたex vivo試験の結果と類似していた。本研究で開発した胎盤オルガノイドは、ウイルスなどが胎盤に感染するメカニズムや妊娠高血圧症候群に関わる胎盤形成不全のメカニズムを解明する上で有用である。また、胎児への副作用を抑えた新しい医薬品の開発や、実験動物を使用しない医薬品安全性評価(動物実験代替法)の開発などにも応用可能である。
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