研究課題/領域番号 |
22K18939
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高橋 康史 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90624841)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ナノピペット / ケミカルセンサー |
研究実績の概要 |
細胞内でオルガネラは相互作用しながら活動しており、その理解には、細胞内の化学動態を計測する技術がもとめられている。その候補の一つとして、ガラスピペットを用いたナノポアセンサーが挙げられる。ガラスピペット先端の大きさを10 nm前後にすると、ガラス内壁の負電荷とイオンが相互作用することで、正の電位で電流がほとんど観察されない半導体同様の整流作用が現れる。この整流作用は、化学物質がピペット内壁に吸着した際に変化するため、化学物質の濃度を電流変化に高感度に変換可能である。細胞外pH計測のためのナノポアセンサーとして、ガラスピペットの先端部にタンパク質(負電荷)とポリLリジン(正電荷)を混合して薄膜を形成し、タンパク質の緻密な細孔の高い再現性・安定性と、タンパク質とポリLリジンの混合比を調整することでセンサーの至適pHのチューニング可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノピペットを利用したpHセンサーとして、タンパク質とポリLリジンの混合比を調整することでセンサーの至適pHのチューニング可能とした。このシステムを活用すると、酵素反応でpHが変化するようにpHセンサーに特定の控訴を修飾することで、ケミカルセンサーを開発することも可能であり、幅広い応用が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度以降は、酵素やアプタマーを活用して、化学物質の濃度をセンサー薄膜の電荷状態の変化としてとらえる。さらに、能動的に生体分子をナノポア内に導入する手法、導入した生体分子の増幅法を確立し、細胞の代謝物をセンシング可能な革新的なケミカルセンサーの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室でこれまで使用していたガラスキャピラリー、牛血清アルブミン、ポリLリジンなどを使用したため、消耗品費は今年度使用しなかった。この消耗品費に関しては、来年度使用する予定である。
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