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2022 年度 実施状況報告書

単一タンパク質の構造と局所物性のダイナミクスを可視化できる顕微鏡技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K18943
研究機関名古屋大学

研究代表者

内橋 貴之  名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30326300)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワード高速原子間力顕微鏡 / 一分子計測 / タンパク質 / 物性 / 機械特性 / 電荷分布
研究実績の概要

本研究の目的は、溶液環境にある生体分子の構造と同時に、機械特性や電荷などの物性分布とそれらの時空間ダイナミクスを、1 nm以下の空間分解能、100 ms以下の時間分解能で可視化できるマルチモーダル単一分子イメージング技術を開発することである。具体的には、高速AFMイメージング中にプローブ-試料間の力学的相互用を全て記録し、そこから試料の局所物性をリアルタイムに抽出する技術を開発する。
本年度は赤外レーザー光によるカンチレバーの非共振振動ための準備を行なった。まず現行の赤色レーザーによるカンチレバーの変位検出レーザーに加えて、励振用のパワー変調赤外レーザーを導入できるよう高速AFMに取り付ける治具を製作した。また、フォースボリュームイメージングに向けて、高速AFMイメージングのための走査信号とカンチレバーの振動を同期させて、画像の各ピクセルでカンチレバーが一回だけ振動するような制御ソフトウェアを実装した。次に、フォースカーブの大量取得に向けた測定システムの検討を行ない、デジタルオシロスコープによるデータ取得とPCへの転送が最適であるとの結論に至り、予備的実験を進めるためにデジタルオシロスコープを用いて高速AFMとフォースボリューム計測を組み合わせたシステムを構築した。このフォースボリューム計測によりモデル脂質膜での凝着力と硬さの分布を3s/frameのイメージング速度で計測することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高速AFMイメージングの各ピクセルとカンチレバーの振動を同期させてフォースカーブを取得できるようになったが、全ピクセルでのフォースボリューム計測は未だ実現できていない。これは、フォースカーブのデータ数が大きすぎてメモリフローを起こすためであり、それにくらべてデジタルオシロスコープの搭載メモリが少なすぎるためである。フォースカーブの全データを取得しようとした方針を変更し、探針が試料に近接した領域だけデータを保存することにソフトウェアを変更する必要がある。このソフトウェアの改良に開発に時間を要しているため、予定より進捗が遅れている。

今後の研究の推進方策

フォスカーブの取得領域を最適化することでデータ点を少なくするとともに、赤外レーザーによるカンチレバーの非共振振動により全ピクセルでの高速フォースボリューム計測を実現する。また、フォースボリューム計測と同時に定量的物性情報をリアルタイムで抽出できるフォースカーブの解析手法を開発し、モデル試料を用いて開発した装置の有効性を実証する。

次年度使用額が生じた理由

データ取り込みボードの選定に時間を要し、最終的にすぐ地購入するよりも手持ちのデジタルオシロスコープや他の機器で使用していた部品を短期的に流用して予備的実験手持ちのを進めたほうが良いと判断したために今年度の予算使用の計画を後ろ倒しにした。予備的検討で性能が確認できたので次年度はデジタルオシロスコープや装置改良のための機器を順次購入し予定通り資金を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Local mechanical indentation combined with high-speed AFM2022

    • 著者名/発表者名
      T. Uchihashi
    • 学会等名
      Workshop on Computational Biophysics of Atomic Force Microscopy ; A Lecture Course Approach
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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