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2022 年度 実施状況報告書

ナノヒータ組込みナノポアを用いた1分子計測法の創成

研究課題

研究課題/領域番号 22K18947
研究機関大阪大学

研究代表者

筒井 真楠  大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50546596)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワードナノポア / 局所加熱 / DNA / イオン電流
研究実績の概要

ナノヒータ組込みナノポアを用いたDNAの1分子検出を実施した。実験では、直径100 nmのナノポアの周囲に渦巻き状の白金ナノワイヤを集積した構造を作製した。まず、両面が厚さ50 nmの窒化シリコン膜でコートされたシリコンウエハの片面を部分的にウェットエッチング処理することで、約100 μm四方の大きさの窒化シリコンメンブレンを形成した。その後、電子線リソグラフィにより渦巻きパターンを描画し、厚さ20 nmの白金層をスパッタ法により蒸着したのち、有機溶媒中でリフトオフした。そうして作製した白金ナノワイヤの中央部に、今度は電子線リソグラフィにより直径120 nmの円を描画した。現像後、レジスト層をマスクとして用い、反応性イオンエッチングによりナノポアを開口させた。最後に、メンブレン上面から化学蒸着法により厚さ20 nmの二酸化ケイ素層を蒸着した。測定では、当該ナノワイヤをジュール加熱させた状態でイオン電流計測によるλDNAの1分子検出を実施した。ナノポアを通るイオン電流は、ヒータ温度の上昇に伴い増大する傾向を示した。これは、虚構所的に昇温された水の粘性が低下したことによるものと解釈できる。一方、DNAの捕捉効率はヒータ温度に対して敏感に変化し、DNAの泳動ダイナミクスにおいて熱泳動力の影響が顕著であることを確認した。また、ある一定温度を超えるとDNAはナノポア近傍の局所熱により2本の1本鎖DNAに分裂することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ヒータ加熱によりナノポア温度を上昇させると、DNAの1本鎖化が可能になるだけでなく、局所温度を精密に制御すれば、ナノポア内が蒸気で満たされた状態を保つことができ、その際イオン電導度が10倍以上向上する、という新現象を発見できた。今後、この蒸気で満たされた制限ナノ空間におけるイオン輸送現象や1分子泳動ダイナミクスに関する新たな研究展開が望める。

今後の研究の推進方策

研究の進捗は順調であり、特に想定外の課題等も出てきていない。このため、今後の研究は計画通り進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

海外メーカのマクロファージ試料の納品予定が遅れ、年度中に納品されなかったため。

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公開日: 2023-12-25  

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