研究課題
オリジナルのトポタクティック酸化法を活用し、鉄系層状複水酸化物(Fe2+-Fe3+ LDH)及びオキシ水酸化鉄の高品質サンプルの創製を行った。その中で、正電荷を帯びたFe2+含有オキシ水酸化鉄ナノシートの合成に成功した。Fe2+-Fe3+ LDHに対するトポタクティック酸化法と脱水素化プロセスを組み合わせることにより、ナノシート構造中に直径10nm程度のメソ孔が生成し、高い表面積が得られた。X線光電子分光法(XPS)とX線吸収端近傍構造(XANES)測定によって、ナノシートにFe2+が部分的に残留されていることが確認された。これは、酸化プロセスにおいて、Fe2+-Fe3+ LDHが完全に脱水素化しきれなかったことを意味する。この結果から、作製したオキシ水酸化物ナノシートは混合原子価(Fe2+-Fe3+)と正に帯電するという両方の特徴を保持している。Fe2+含有オキシ水酸化鉄ナノシートは電気化学的窒素還元反応(ENRR)触媒として、高いNH3収率(28.5 μg/h mgcat)と優れたファラデー効率(13.2%)を示した。この値は、剥離されていないバルクのオキシ水酸化鉄のENRR触媒活性よりもはるかに高い。ナノシートの大きな比表面積と正電荷は、より露出した反応サイトを提供するとともに、水素発生反応を抑制するにも有益である。本研究成果は、オキシ水酸化鉄ナノシートの電子構造と多孔性形態を合理的に制御することにより、高効率ENRR電極触媒の開発範囲を拡大するものであると言える。安価な遷移金属をベースに、貴金属代替高性能触媒の開発に向けて、新しい設計指針を提供するものとして期待される。
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