研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換の新原理を開拓することを目指した。その結果、ナノ磁性体を用いることで、磁気的な光電変換(磁気光電変換)現象が起きることを明らかにした。また、詳細な測定により、その起源がナノ磁性体中に発生する空間反転対称性を破る磁気秩序(渦状磁気配列)であることを明確に示した。この結果は、半導体p-n接合界面や強誘電体を利用する従来の太陽電池とは全く異なる新規光電変換機能を世界で初めて明瞭に示すものである。
光物性、光スピントロニクス
本研究では、半導体p-n接合界面や強誘電体におけるバルク光起電力効果などのこれまで知られている光電変換原理ではなく、ナノ磁性体中に発生する渦状磁気配列による磁気光電変換を世界で初めて明瞭に観測することに成功したことに意義がある。今後は、ナノ磁性体の大きさ・形状・周期・配列・膜厚などを変えることで、渦状磁気配列による磁気光電変換の巨大化を目指す。また、本研究で観測した磁気光電変換は、渦状磁気配列の直接的かつ高感度なプローブとしての利用も期待される。