研究課題
直径40nmの金ナノ粒子に対し、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)のオリゴヌクレオチドを吸着させ、それらを介した二量体形成を行った。低pH下でプロトン化するアデニン、シトシンの場合、金ナノ粒子のゼータ電位の絶対値が低下し、二量体形成効率が向上することを確認した。さらに、一塩基置換オリゴヌクレオチド(C…CAC…C、C…CGC…C)を用いた水中一粒子ラマン計測により、Aのみ、あるいはGのみのピークを確認し、二量体ホットスポットによる一塩基分解能を実証した。続いて、アミノ酸としてチオール基を有するシステインを主たる対象とし、上記DNA二量体化の経験を活かしながら、広範囲にわたるpH下での二量体の形成を検証し、その機構を議論した。吸光度計測と顕微ラマン計測を通して、酸性条件下(陽イオン)と中性条件下(双性イオン)ではシステインによる架橋形態が大きく異なることを見出した。上記と並行して、ナノメンブレンに穿孔したナノポアに相変化材料であるGeSbTeを成膜し、金ナノ粒子のナノポアへの誘導と捕捉を試みた。直流電界のもとでレーザー光を照射しながら粒子のナノポア通過過程を観察すると、ある頻度で金ナノ粒子の捕捉を確認できた。新たな捕捉機構を探索する中、GeSbTe薄膜をレーザー加熱しつつ、交流電界を印加すると、水の誘電率の温度依存性に起因した電熱流を誘起することができ、これによって金ナノ粒子を遠方から効率的にナノポアへ誘導できることを見出した。さらにGeSbTeがレーザー照射加熱によって結晶化した領域は導電性となり、浮遊電極として交流電界の集中にともなう電気浸透流が新たに発生することを確認した。電熱流、電気浸透流ともに交流周波数に対する依存性を示し、設定周波数により両者の流速の比を制御できることから、この制御機構がナノポア捕捉効率向上に寄与する可能性を議論した。
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生物工学会誌
巻: 101 ページ: 422-425
10.34565/seibutsukogaku.101.8_422