研究課題/領域番号 |
22K18992
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
保科 宏道 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (10419004)
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研究分担者 |
原田 昌彦 東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | テラヘルツ光 / 衝撃波 / 生体分子 / 細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は,理化学研究所テラヘルツ光研究グループ(仙台)の保科と,東北大学大学院農学研究科の原田による共同研究で進める.2022年度,保科は主に「(A) THz衝撃波照射装置の構築」を行い,原田は「(B)生細胞へのTHz衝撃波照射」の予備実験を行った. (A) THz衝撃波照射装置の構築 保科は長時間の細胞照射実験を行うため,レーザーベースのTHz光源と蛍光顕微鏡,細胞培養システムを組み合わせた,テーブルトップ型THz衝撃波照射装置を構築した.再生増幅器の出力光を空気中で集光し,生成したプラズマから3次の非線形光学過程で発生したパルスTHz光(1mJ/cm2)を培地に照射する.発生した衝撃波は培地中を伝搬し,培地中のカバーガラス上に培養された生細胞に照射される.細胞は蛍光顕微鏡によって観測され,細胞内外のタンパク質構造,細胞の形態や運動状態の変化が得られる.2022年度は照射装置の構築を行った. (B) 生細胞へのTHz衝撃波照射 原田らは上記装置を用いた実験の予備実験を行った.医療応用につながる細胞機能制御を探索するため,遺伝子損傷修復へのTHz光影響評価の予備実験を行った.実験では,0.1THzおよび0.28THzのテラヘルツの連続光をがん細胞に照射し,DNAダメージマーカーγH2AXの発現量を観測した.その結果,DNA損傷修復過程に0.28THzの電磁波を照射すると,損傷修復が誘起される事を発見した.今後,パルステラヘルツ光を照射したときの結果との比較を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はテーブルトップ型THz衝撃波照射装置と,培養細胞への照射予備実験が完了した.おおむね計画通り順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は前年度構築したTHz衝撃波照射装置を用いて精細胞へのTHz衝撃波照射実験を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
23年度に計画している生細胞へのTHz衝撃波照射実験に必要な細胞や試薬の一部について,あらかじめ予備実験による検証が必要である可能性があったため,22年度予算にその費用を計上していた.しかし,22年度に行った実験によって十分な検証ができたため,それらの試薬及び細胞は23年度に購入することとした.
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