• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

多種多様な金属ナノ粒子触媒の精密合成を可能とする超分子テンプレート法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K19020
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

宮村 浩之  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00548943)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード金属ナノ粒子 / 不均一系触媒 / 超分子錯体 / 触媒的有機合成 / 超構造体
研究実績の概要

本研究では、高分子担体内で、粒径を自在に制御可能かつ、その分散度が均一な、金属ナノ粒子の生成手法の開発を行う。高分子に固定化した超分子錯体をテンプレートに、異なる種類の金属塩を、それぞれ異なる配向性をもって秩序だった状態に安定化する。そこに、還元剤を添加することで、超分子錯体を中心とした秩序構造を維持したまま、金属塩の還元とナノ粒子形成を行い、担体の高分子全体に渡って、均質な粒径や分散度のナノ粒子が形成できると考えられる。
6つのビスカテコール配位子と4つの金属中心から形成される正四面体型の超分子錯体(Raymond Tetrahedron)を、カチオン性の高分子に担持した、高分子固定化超分子錯体に、金塩や白金塩を吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで、粒径の整った金属ナノ粒子が高分子中に担持されることを、電子顕微鏡による観測から明らかにした。また、金塩と白金塩を同時に吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで二元金属ナノ粒子触媒を調製したところ、興味深いことに、合金ナノ粒子は形成せず、それぞれ粒径の揃った金ナノ粒子と白金ナノ粒子が同一担体に担持されることがわかった。
一方、高分子固定化カルボン酸と、多価アミンからなる、多点相互作用による超構造体形成を指向した不均一系触媒が、Marschalk反応として知られる、ロイコキニザリンとアルデヒドとの、アルドール縮合―分子内酸化還元のタンデム反応に高活性を示すことを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの検討で、6つのビスカテコール配位子と4つのガリウム金属中心から形成される正四面体型の超分子錯体(Raymond Tetrahedron)を、四級アンモニウムカチオン側鎖を有するカチオン性の高分子に担持した、高分子固定化超分子錯体に、金塩や白金塩を吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで、粒径の整った金属ナノ粒子が高分子中に担持された。
本年度は金塩と白金塩を同時に吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムで還元処理することで二元金属ナノ粒子触媒を調製したところ、興味深いことに、合金ナノ粒子は形成せず、それぞれ粒径の揃った金ナノ粒子と白金ナノ粒子が同一担体に担持されることがわかった。
一方、カルボン酸とアミンのような弱酸―弱塩基複合型触媒は、アルドール反応や、不飽和カルボニル化合物への1,4-付加反応などに高活性を示す触媒として知られている。そのような中、高分子固定化カルボン酸と、多価アミンからなる、多点相互作用による超構造体形成を指向した不均一系触媒が、Marschalk反応として知られる、ロイコキニザリンとアルデヒドとの、アルドール縮合―分子内酸化還元のタンデム反応に高活性を示すことを見出した。さらに、本触媒は簡便な操作のみで活性を維持したまま回収、再使用が可能であることを明らかにした。通常、弱塩基と弱酸はその相互作用が弱いため、アミンの流出が想定されるが、新たに開発した不均一系触媒では、触媒活性種の多点相互作用による超構造体形成が流出を抑制し、触媒活性が維持できたと考えられる。

今後の研究の推進方策

超分子錯体をテンプレートに金塩と白金塩を原料とし、二元金属ナノ粒子触媒を形成する際に、合金ナノ粒子ではなく金ナノ粒子と白金ナノ粒子がそれぞれ粒径の揃ったナノ粒子が同一担体に担持されることが明らかになった。そこで、金と白金の組み合わせにとどまらず、様々な金属の組み合わせからなる触媒においても、同様に別々の粒径の揃ったナノ粒子が形成されるか検証を行う。最近の研究結果から、キニザリンのロイコキニザリンへの選択的な水素化反応において、ポリシランーアルミナ複合担体に固定化した白金と鉄、ニッケル、コバルトなどからなる二元金属ナノ粒子触媒が高活性および、高選択性を示すことが明らかになっている。さらに、これらの二元金属ナノ粒子触媒においては、白金ナノ粒子と鉄族ナノ粒子が、近接する反応場に別々のナノ粒子を形成しているがその粒径が不揃いであることがわかっている。そこで、超分子テンプレート法を用いて、白金と鉄族からなる粒子径の揃った二元金属ナノ粒子触媒を調製し、キニザリンのロイコキニザリンへの選択的な水素化反応で触媒活性を評価する。
高分子固定化カルボン酸と、多価アミンからなる、多点相互作用による超構造体形成を指向した不均一系触媒の開発と、それを用いるMarschalk反応の検討を行う。本検討では、カルボン酸を固定化する担体として、ポリスチレン誘導体やポリシロキサンなど想定している。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は本研究遂行における実験補助業務を行う適切な契約職員がみつからなかったため、想定していた人件費を繰り越すこととした。2024年度は、本研究遂行における実験補助業務を行う適切な契約職員が見つかり、本研究の遂行を加速できる環境が整ったため繰越額を加えた研究費を計上している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 異種材料の融合と連続フロー反応系が拓く有機合成化学2023

    • 著者名/発表者名
      宮村浩之
    • 学会等名
      第13回サブウェイセミナー,筑波大学
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi