研究課題/領域番号 |
22K19026
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仙波 一彦 京都大学, 工学研究科, 講師 (30712046)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 有機フッ素化合物 / グリニャール反応剤 / 複核金属錯体触媒 |
研究実績の概要 |
有機フッ素化合物はフッ素の大きな電気陰性度に由来する特異な性質を示すため、医農薬品および機能性有機材料として広く用いられており、現在の我々の豊かな生活を支えている。それら有用物質の開発には、多数の化合物をスクリーニングする場合が多いため、有機フッ素化合物の効率的な合成手法の開発が求められている。本研究では、多フッ素置換有機化合物の炭素-フッ素結合の選択的な変換を利用する有機フッ素化合物の新しい合成手法の開拓を目的とする。具体的には、ポリフルオロアレーンやトリフルオロメチル基の炭素-フッ素結合を選択的に変換することで、従来法で合成困難な多官能性芳香族フッ素化合物や、ジフルオロアルキル化合物の合成手法を開発する。 R5年度は、複核金属錯体を利用するマルチフルオロアルカンの炭素-フッ素結合のメタル化反応の開発を行った。初めに、フルオロアレーンのマグネシウム化反応において有効であったアルミニウム-ロジウム複核錯体が、フルオロアルカンのマグネシウム化反応にも効果的であるのかを調査した。その結果、様々なフルオロアルカンからアルキルマグネシウム反応剤が合成できることが分かった。次に、トリフルオロメチルベンゼンのマグネシウム化反応をアルミニウム-ロジウム複核錯体を用いて検討した。その結果、望みの有機マグネシウム反応剤は得られなかったが、1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ジフェニルエタンが中程度の収率で得られた。これは、アルミニウム-ロジウム複核錯体によってトリフルオロメチルベンゼンの炭素-フッ素結合が活性化されたことを示唆する結果である。今後は、本反応の反応機構を明らかにし、その知見を活用し、マルチフルオロアルカンの炭素-フッ素結合のメタル化反応を開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度は、主としてトリフルオロメチルベンゼンの炭素-フッ素結合のメタル化反応を開発することを予定していた。本年度は、アルミニウム-ロジウム複核錯体がフッ化アルキルのマグネシウム化反応に有効であることを明らかにした。加えて、同錯体によるトリフルオロメチルベンゼンの炭素-フッ素結合の切断を示唆する結果を得た。これらは、トリフルオロメチルベンゼンの炭素-フッ素結合のメタル化反応に繋がる結果であり、研究は計画通りに進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は、複核金属錯体触媒を利用するマルチフルオロアルカンのメタル化反応の開発を行う。具体的には、アルミニウム-ロジウム錯体によるトリフルオロメチルベンゼンを原料とする1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ジフェニルエタンの生成機構の解析を行い、マルチフルオロアルカンのメタル化反応を実現するためには、触媒サイクルのどの段階に問題があるのかを調べ、目的反応の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の達成目標の一つであった複核金属錯体触媒を利用する穏和な含フッ素アリール金属反応剤調製法の開発が完了しなかったため。そのため、研究費は消耗品費に主に使用する予定である。
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