研究課題/領域番号 |
22K19028
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大野 浩章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30322192)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 金触媒 / ビニルカチオン / お椀型分子 / π共役系 / 連続反応 / フェナントレン / ジベンゾフルオレン |
研究実績の概要 |
お椀型π共役系分子は特異な構造に由来する物理化学的性質を有するため、次世代型有機材料として注目されている。本研究は、独自のビニルカチオン発生法を駆使したお椀型π共役系構造構築法の開発と、新規π共役系分子の創製を目的として、縮環フェナントレン類の合成と高度π共役分子への合成展開を実施している。当該年度においては、ナフタレンテザーを有するアレンイン型環化前駆体を各種合成し、金触媒連続環化反応の検討を行った。反応条件を検討した結果、アルキン末端に三級アルキル基を有するアレンインに対してBrettPhosをリガンドとする金触媒を1,2-ジクロロエタン中60 ℃で作用させると、目的のシクロペンタフェナントレン誘導体が中程度の収率で得られた。アルキン末端のアルキル基としては、置換基の立体障害が大きい場合に反応が進行しやすい傾向が確認された。引き続き、アルキン末端にフェニル基を有するアレンインを用いて金触媒反応を行ったところ、ジベンゾフルオレン誘導体が生成することを見出した。ジベンゾフルオレン誘導体は、活性化されたアルキンに対するアレンからの求核攻撃によりアリルカチオンが生成し、引き続きフェニル基からの求核的環化反応が進行することにより生成したものと考えられる。さらなる条件検討の結果、シクロペンタフェナントレン誘導体とジベンゾフルオレン誘導体を優先的に得られる反応条件を確立した。基質一般性を検討した結果、フェニル基に種々の置換基を導入した基質にも適用可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に従って、目的とするシクロペンタフェナントレン誘導体の合成法の開発が完了したため。アルキン末端にアリール基を有するアレンインを用いることで、ジベンゾフルオレン骨格を構築できることを新たに見出した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに開発したシクロペンタフェナントレン誘導体の合成法を用いて、高度縮環型π共役系分子の合成の検討を行う。アルキン末端に官能基を有するアレンインを用いて金触媒環化反応を行ったのち、酸化と分子内Friedel-Craftsアシル化反応を行うことで、高度に縮環したお椀型分子を合成することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を想定よりも安価に購入できたため。少額の残額であるため、次年度使用計画に変更は生じない。
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