近年、拡張π電子系に基づく機能性有機材料の開発・利用が盛んに行われているが、アクセス可能な分子骨格には大きな制限がある。本研究では、新たな縮環型多環芳香族化合物の合成法として、鎖状分子の重合反応による多環芳香族ユニットをもつポリマーの形成とそれに続く鎖切断からなる新たなプロセスの開発を目指した。その結果、縫合重合とそれに続くアルケンの異性化による四環性の縮環型芳香環を繰返し単位にもつポリ(アリーレンビニレン)の合成法を確立した。また、得られたポリマーの鎖切断についても様々な条件検討を行い、低分子量体の発生まで確認することができた。
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