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2023 年度 実施状況報告書

カーバイド配位子を有する鉄硫黄クラスターの合成と性質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19054
研究機関大阪公立大学

研究代表者

竹本 真  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20347511)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードニトロゲナーゼ / カーバイド / クラスター / 鉄硫黄クラスター
研究実績の概要

本研究では、応募者がこれまでに開拓してきた金属カーバイド錯体の合成法を基盤として、ニトロゲナーゼ活性中心のモデルとなる金属硫黄カーバイドクラスターを創成する。ニトロゲナーゼ活性中心の生成過程において、出発物質である Fe4S4 クラスターは Fe4S3C のキュバン型構造へと変化しており、4 つの鉄のうち 3 つの配位環境が大きく変化している。これを踏まえ、置換不活性な配位子 NHC を 1 つ、置換活性なハロゲン配位子を 3 つ有する Fe4S4 クラスターを合成した。また、NHC:I = 2:2 のクラスターも合成に成功している。さらに、これらのクラスターにC1配位子であるメチル基を導入した化合物の合成にも成功した。現在、カーバイドクラスターへの誘導を検討している。Fe4S4 クラスターとの反応に適していると予想されるコンパクトな無置換 Cp 配位子や求核性の高いメチリジン配位子を持つ二核 Ru 錯体を合成している。これらの二核 Ru 錯体をテンプレートとして Fe4S4 クラスターとの複合化を行う予定である。ニトロゲナーゼ活性中心の基質捕捉部位は、カーバイドで架橋された 6 個の鉄原子の内の 2 個の鉄中心であると考えられていることから、この部分構造のモデルとなる二核錯体を合成する。応募者がこれまでに合成した二核 Ru 錯体を利用するほか、その Fe アナログを新たに合成する。まだ、研究対象となる金属硫黄カーバイドクラスターが得られていないため、直接的な検討はできていないが、ヒドラジンを取り込んだ炭素架橋二核 Ru 錯体や、イリド Ph2S=CH2 を炭素源として、二核 Ru カーバイドクラスター上で CO 還元に関連した炭素―炭素結合形成反応が実現できることを見出している。これらの知見を金属硫黄カーバイドクラスターの反応開拓に活用する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

目的とする Fe4S3C のキュバン型クラスターの合成に向けて置換不活性な配位子 NHC を 1 つ、置換活性なハロゲン配位子を 3 つ有する Fe4S4 クラスターを合成した。また、NHC:I = 2:2 のクラスターも合成に成功している。さらに、これらのクラスターにC1配位子であるメチル基を導入した化合物の合成にも成功した。しかしながら、目的とするカーバイドクラスターの合成には至っていない。カーバイドクラスターの合成を早急に達成し、それらの性質を調べる段階に進むことが必要である。

今後の研究の推進方策

置換不活性な配位子 NHC を 1 つ、置換活性なハロゲン配位子を 3 つ有する Fe4S4 クラスターを合成した。また、NHC:I = 2:2 のクラスターも合成に成功している。さらに、これらのクラスターにC1配位子であるメチル基を導入した化合物の合成にも成功した。しかしながら、目的とするカーバイドクラスターの合成には至っていない。カーバイドクラスターの合成を早急に達成し、それらの性質を調べる段階に進むことが必要である。今後は以下の点を中心に研究を推進していく。
1) Fe4S4 クラスターに配位したメチル基のカーバイドへの変換
2) ダブルキュバン型Fe8S8クラスターの合成とメチル化
3) カーバイド配位子を有する鉄硫黄クラスターの性質の解明

次年度使用額が生じた理由

前年度に予定していた極低温装置の購入を取りやめた。本装置は、熱的に不安定な錯体の合成を効率化するために購入を予定していたが、本研究で対象とする鉄硫黄クラスターが想定よりも熱的に安定であることが研究の過程でわかってきた。そのため、本装置を導入する費用対効果が小さくなったと判断した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] NHCを支持配位子とする 4Fe-4S ハライドクラスターの合成と性質2023

    • 著者名/発表者名
      中山雅記・矢野龍玄・竹本真・松坂裕之
    • 学会等名
      錯体化学会第73回討論会

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公開日: 2024-12-25  

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