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2022 年度 実施状況報告書

励起子拡張性を利用する水分散型超分子光触媒の創製

研究課題

研究課題/領域番号 22K19069
研究機関東京都立大学

研究代表者

久保 由治  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (80186444)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードボロン酸 / 自己組織体 / 光触媒 / 励起子 / 水素製造
研究実績の概要

本研究では、ボロン酸の動的共有結合に基づく自己組織体形成特性をπ共役低分子の密充填化に適用し、励起子拡張性を有するボロネート自己組織体を調製する。その自己組織体の表面に白金ナノ粒子の担持をおこない、超分子光触媒機能の発現を目指すことを目標にした。2022年度は、まずペリレンジイミドを構成ユニットとするボロネート自己組織体の構築を検討した。ペリレンジカルボン酸無水物に4-アミノフェニルボロン酸との反応がボロン酸リンカーを導入するのに都合がよい方法との判断をもとに合成を進めたが、生成物が難溶性であったため、それを組織化するまでには至っていない。一方、分散性ボロネート粒子(BP)の表面修飾性に関する知見を得る目的で、ベンゼン-1,4-ジボロン酸とペンタエリスリトールとの逐次的脱水縮合反応をおこなった。ポリエチレンイミン (PEI) 共存下、白金酸イオンを水素化ホウ素ナトリウムによる析出還元法をおこなったところ、平均粒径1.35 nmの白金ナノ粒子を担持した(0.43 wt%)。これはBP粒子上で水素還元反応を可能にする。その機能性を検証するため、比較的寿命の長い三重項励起子を発現させ、その電子をBP上の白金ナノ粒子へ移動させた。具体的には、得られた白金担持ボロネート自己組織体を、三重項増感剤としてのヨウ素BODIPYとアスコルビン酸を添加したエタノール水溶液に分散させ、Xe ランプ (λ > 400 nm, 100 mW cm-2) を照射した。その結果、水素製造が確認され、5時間の光照射下、水素発生効率は229.4 μmolと算出された。目下、増感機能をもつ自己組織体の調製を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

励起子から生じる電荷の移動パスとなるπ共役分子を高密度積層させることが不可欠であるが、π共役面をもつ分子部品は強固な分子間相互作用を引き起こす結果、溶媒溶解性が低下する。有機溶媒に対する溶解性の確保は、連結部位の役割を担うボロン酸エステル結合を組み込むために必須である。しかしながら、π共役平面性の拡張を意識しすぎると、難溶性を招き目的物の合成がうまくいかない。このあたりのバランスをはかりながら、目標の自己組織体の調製を検討している。

今後の研究の推進方策

ボロン酸含有π共役分子の合成及び電子物性について、検証と関連実験をおこないながら構成分子の改良をおこなっている。現在、π平面性がやや小さくなるが、合成的に取り扱い易いナフタルビスイミド系を用いて自己組織化を検討している。さらに、構成分子の会合状態をコントロールする工夫をおこなっている。

次年度使用額が生じた理由

今年度、所属研究機関から関連テーマで物品費が措置(東京都立大学 科研費チャレンジ支援(基盤研究(A))された。2023年度はこれを物品費に加えた予算で研究を推進する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Turn-on type afterglow probe for Hg2+ sensing by a PVA-mediated triplet sensitizer2023

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Takegawa、Masato Ito and Yuji Kubo
    • 雑誌名

      New Journal of Chemistry

      巻: ー ページ: ー

    • DOI

      10.1039/D3NJ01281F

    • 査読あり
  • [学会発表] ボロネート架橋型PVAマトリックスを利用した金属イオン応答型残光分子系2023

    • 著者名/発表者名
      竹川慧・伊藤正人・久保由治
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会(2023)
  • [学会発表] 三重項増感剤共存下におけるボロネート粒子型水素発生光触媒の調製と評価2023

    • 著者名/発表者名
      長谷川椋平・伊藤正人・久保由治
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会(2023)
  • [学会発表] ボロネート共結晶のサーモクロミック残光2023

    • 著者名/発表者名
      川口楓・伊藤正人・久保由治
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会(2023)
  • [備考] 東京都立大学 大学院都市環境科学研究科 久保研究室ホームページ

    • URL

      https://www.comp.tmu.ac.jp/kubolab/kubolabtop.html

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公開日: 2023-12-25  

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