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2023 年度 実施状況報告書

直線運動する高分子末端と環分子との連続貫通反応を利用した新規ポリロタキサンの合成

研究課題

研究課題/領域番号 22K19070
研究機関京都府立大学

研究代表者

沼田 宗典  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70423564)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード超分子化学 / 非平衡 / ポリロタキサン
研究実績の概要

本研究課題では、マイクロ流体の直線運動量を駆動力として、高分子末端と環分子との間に定常的な衝突エネルギー を供給し続ける革新的な 超分子形成システムを構築し、ポリロタキサン形成の素材を本来相互作用 しない高分子/環分子の組み合わせにまで拡張することを目指す。これにより未知のポリロタキサン材料の開発に結び つけることが最終目標である。
2022年度は環のサイズが異なる2種類のCDを用いたポリロタキサン形成を実施し、マイクロ流体中において環サイズの異なるCDのどちらがPEGと優先的にポリロタキサン形成するのかについて検討を行った。2023年度はこの実績を基に、PEG以外のゲスト高分子を用いた実験を実施し、管分子と軸高分子の組み合わせの拡張を図った。特に、立体障害を持つ高分子を新たに重合することにより、管サイズを超えた管分子(CD)の包接が起きるのかどうかについて基本的な知見を得ることを目指した。立体障害となる側鎖のサイズと数を変化させた共重合体を合成し、ガンマシクロデキストリンとの混合溶液をマイクロチャンネルに導入した。流出溶液の分光測定および顕微鏡観察の結果、包接はバイアル管を用いた場合と比較して促進されることが明らかとなった。本実験で得られたポリロタキサンは新規ポリロタキサンである。マイクロ流体中においてポリロタキサン形成が可能な高分子鎖と環分子の組み合わせを拡張できたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題の目的は、「マイクロ流体の直線運動量を駆動力として、未知のポリロタキサン材料を開発する」ことである。シクロデキストリン(CD)が従来包接できないゲスト高分子であってもマイクロ流体中ではポリロタキサン構造の創製が確認できた。これは本申請課題の中心テーマである「鍵と鍵穴の関係を超えたホストゲスト相互作用の創出」を具現化した結果であると言える。概ね当初の予定を達成することができたと考えている。

今後の研究の推進方策

2024年度(最終年度)はこれまでの成果を基に、さらに 多様な環・高分子構造への拡張を実施していく予定である。特に2023年度に実施した立体障害を持つゲスト高分子の包接に関する研究成果を土台として、さまざまなゲスト高分子の能動的な包接にチャレンジしていく予定である。また、実践的なポリロタキサン合成法の確立という観点から、マイクロチャンネルの材質や形状などについても検討を行う。より安価で拡張性の高い反応場に関する情報を提供することにより、本課題で確立したポリロタキサン合成手法が超分子化学だけでなく材料化学分野へと浸透していくことを期待する。

次年度使用額が生じた理由

前年(2022年)度からの繰越金を論文校正費や論文掲載費として使用する予定であったが、当初投稿を予定していた数の論文投稿が間に合わず繰越金が生じた。また、2023年度にもいくつか新しいマイクロチャンネル設計・作製したが、いくつかのチャンネルについては予定していたガラス製のチャンネルからポリイミドフィルム性のチャンネルに変更して作製した。実験に用いた溶液が水溶液であり、溶媒耐性やチャンネル構造の拡張性の観点からポリイミドフィルムのチャンネルへの変更が妥当であると判断したためである。これによりマイクロチャンネル作製費用として計上していた消耗品の支出を抑えることができ、繰越金が生じた。2023年度は既にいくつかの萌芽的研究が芽生え始め、それらを遂行するためにはさらに新たなマイクロチャンネルのデザイン・作成も必要になると考えている。繰越金は論文掲載費として、また一部はマイクロチャンネルの作成やその周辺パーツ代として本年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Supramolecular Chemistry of a Moving Solution: Flow Drives New Non-covalent Bond Formation2023

    • 著者名/発表者名
      Numata, M.; Kanzaki C.
    • 雑誌名

      Chem. Lett.

      巻: 52 ページ: 602-610

    • DOI

      10.1246/cl.230208

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 速度論的共会合により実現するエンドキャップ超分子の創製と動的共有結合による階層化2023

    • 著者名/発表者名
      澤田 実樹・沼田 宗典
    • 学会等名
      第13回CSJ化学フェスタ2023
  • [学会発表] 非平衡環境における分子―高分子相互作用の精密制御2023

    • 著者名/発表者名
      乃村 翔太・寺島 崇矢・沼田 宗典
    • 学会等名
      第13回CSJ化学フェスタ2023
  • [学会発表] 田中 翔貴・沼田 宗典2023

    • 著者名/発表者名
      マイクロ流体エネルギーを駆動力とした精密超分子重合
    • 学会等名
      第13回CSJ化学フェスタ2023

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公開日: 2024-12-25  

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