研究課題/領域番号 |
22K19078
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
轟 直人 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10734345)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 水電解 / 酸素発生反応 / 貴金属酸化物 / 電極触媒 / 異方歪み |
研究実績の概要 |
本年度は、RuO2/MO2(M=Ir, Sn)/TiO2(110)単結晶ヘテロ構造を作製し、その酸素発生触媒特性を評価し、MO2中間層の存在がRuO2触媒の異方歪みおよび触媒活性におよぼす影響を議論した。各層の作製にはアークプラズマ蒸着法を用い、構造評価には走査型電子顕微鏡、in-planeX線回折、原子間力顕微鏡、X線光電子分光法を用いた。触媒活性は窒素パージした過塩素酸溶液中で分極曲線を測定し評価した。触媒耐久性は定電流密度でのクロノポテンショメトリーにより評価した。初期の酸素発生触媒活性はIr酸化物を中間層とした場合は、中間層なしの場合とほとんど変わらなかったが、Sn酸化物を中間層とした場合に活性が大幅に向上した。電気化学インピーダンス測定、およびin-planeX線回折の結果から、Sn酸化物を中間層とすることにより、触媒/Ti担体間の抵抗が低減するだけでなく、Ru酸化物触媒層に加わる圧縮ひずみが緩和され、触媒活性そのものも向上することが明らかになった。また、クロノポテンショメトリーによる耐久性評価では中間層なしの場合に対し、Ir酸化物、Sn酸化物を中間層とした場合、過電圧の上昇幅が小さくなった。中間層なしの場合インピーダンス測定で評価した電極抵抗が増加していた一方、中間層ありの場合電極抵抗はほとんど変化しなかった。断面ミクロ構造を電子顕微鏡に観察したところ、中間層なしでは試験後にナノサイズの空隙が生じていた一方、SnO2中間層試料では空隙が観察されなかった。以上より、RuO2/TiO2間に格子不整合を緩和する中間層を挿入し異方歪み量を制御することにより、触媒活性だけでなく耐久性を向上できることが明らかになった。本成果の内容は論文にまとめ、投稿済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
RuO2/MO2(M=Ir, Sn)/TiO2(110)単結晶ヘテロ構造を用いて、異方歪みの制御によりRuO2触媒の活性・耐久性を向上し、そのメカニズムを実験的に明らかにした。現時点で当初計画の7-8割を達成していることから当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
活性・耐久性向上メカニズムについて理論面からの考察が不足しているため、計算科学者の手を借りて第一原理計算により検討を進める。
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