• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

水を媒体とした黒鉛へのリチウムイオン挿入反応の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22K19087
研究機関大阪大学

研究代表者

山田 裕貴  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30598488)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワードリチウムイオン電池 / 水系電解液 / 水和融体 / 疎水化
研究実績の概要

本研究では、リチウムイオン電池に使用されている電解液を有機溶媒系から水系に置き換えることを目的とする。その際に問題となるのが負極反応である。リチウムイオン電池の負極には黒鉛が用いられ、その充放電反応(リチウムイオンの挿入脱離反応)は極めて低い電位(強還元雰囲気)で起こるため、水の還元分解(水素発生)と競合してしまう。本研究では、低電位における水の還元分解反応を高度に抑制可能な黒鉛電極/電解液界面を探索した。
本年度は、電極表面における水の還元分解反応の素過程について調べるとともに、黒鉛表面の疎水化手法について検討した。電極表面における水分子の状態を分光法により調べた結果、水系電解液のリチウム塩濃度によって水分子の表面集積状態が異なることが分かった。既に観察されているリチウム塩高濃度化による水の還元分解抑制の一因となっていると考えられる。また、黒鉛表面の疎水化手法として、疎水性ポリマーによる被覆方法について検討した。次年度に高濃度水系電解液(水和融体電解液)を組み合わせた評価を実施する。
本研究により明らかとなった水の還元分解反応の素過程は、水素発生抑制に向けた重要な学術知見となる。競合する水素発生反応の抑制により、黒鉛電極へのリチウムイオン挿入反応に成功すれば、安全かつ高性能な水系リチウムイオン電池の実現が期待される。現行リチウムイオン電池は、使用されている有機電解液が可燃性であるため、火災事故が多発し、更なる用途拡大に向けた大きな障壁となっている。水系リチウムイオン電池では、火災リスクを最小化することができるため、火災事故が絶対に許されない用途への応用が大きく拡大する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水の還元分解反応の素過程に関する知見が得られ、かつ電極表面の疎水化に関する検討も進行中であり、概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り推進する予定である。水の還元分解反応に大きな影響を与えるリチウム塩濃度に着目し、より還元安定性の高い水系電解液を探索する。また、電極表面の疎水化について、疎水性ポリマーによる被覆以外の方法の組み合わせを検討する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は水の還元分解機構の解析と電極表面の疎水化手法を中心に検討し、電解液組成の検討を次年度に実施することにしたため、電解液材料(高純度リチウム塩)の購入費用を次年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 備考 (4件)

  • [備考] 山田研究室ウェブサイト

    • URL

      https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/eem/

  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/yuki_yamada

  • [備考] Google Scholar

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?hl=ja&user=c2e3ligAAAAJ&view_op=list_works

  • [備考] publons

    • URL

      https://publons.com/researcher/1686764/yuki-yamada/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi