本研究成果は,GPCRの中でも膵臓がん細胞などのマーカー候補プロスタグランジン受容体EP4に対し,細胞外領域を特異的に認識可能な人工抗体を取得できた点で,学術的・社会的意義が大きい.良質な標的分子を準備さえすれば,無細胞翻訳系にもとづく進化分子工学の手法により,創薬展開に適する人工抗体などを効率的に選抜可能になった.産業応用上のゴールは,需要が大きな創薬用人工抗体の効率的取得システムの提供であり,社会貢献に直結する成果と考えている.また,学術的にもGPCRを含む膜タンパク質の品質管理の鍵を握るAsterixの基本的な分子挙動について生化学的な知見が得られた点では進捗があったと考えている.
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