これまでに人工核酸の鎖交換反応を利用することで、蛍光色が”配列”に従って変化する蛍光バーコードの開発に成功している。本研究では蛍光バーコードの更なる拡張、及びそれを利用した生体分子間相互作用イメージングを目指した。 本年度は蛍光バーコードの拡張、及び近接ライゲーションアッセイ(PLA)についての検討を行った。これまでは3色の蛍光色素が2回蛍光変化する蛍光バーコードの開発に成功しているが、計27種類のラベルしか調製できないという問題点があった。そこで、3回蛍光変化する蛍光バーコードを調製し、その評価を行った。その結果、3回蛍光変化させた際も設計通りの蛍光変化が見られることがわかった。このことは、3色の蛍光色素を3回蛍光変化させることで81種類のラベルの調製が可能であることを示している。すなわち、蛍光変化回数を増加させることで蛍光バーコードを容易に拡張可能であることがわかった。以上のように、蛍光変化回数を増加させることで蛍光バーコードの拡張に成功した。 また、オリゴ修飾した抗体を利用したPLAについて検討を行った。具体的には、RNA干渉関連タンパク質であるAGO2及びGW182に対する抗体をオリゴ修飾し、ライゲーション及びローリングサークル増幅(RCA)を行うことでこれらのタンパク質間の相互作用を解析した。その結果、予想通りのシグナルが観察されたことから細胞内のタンパク質間相互作用解析が可能であることがわかった。今後、蛍光バーコードを利用したイメージングへと展開する予定である。
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