環境応答性かつ超耐光性を有するミトコンドリア内膜標識剤を開発し,シングルクリステレベルでのミトコンドリア膜電位の可視化計測を目指した.開発したプローブはミトコンドリア膜の極性環境の違いを感受して,異なる蛍光寿命を与えることを見出し,単一のミトコンドリアにおいても膜特性は不均一であることを明らかにした.この不均一性は,飽和脂質と不飽和脂質の割合に起因しているものと思われる.脱共役剤によりミトコンドリア膜電位を消失させたところ,膜の流動性が著しく減少することがわかった.膜電位の変化が脂質特性の変化を引き起こし,内膜形態や機能異常を誘発することが示唆される.
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