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2022 年度 実施状況報告書

アミロイド凝集を指標とした生体化合物の内分泌撹乱性評価法の創出

研究課題

研究課題/領域番号 22K19114
研究機関愛媛大学

研究代表者

座古 保  愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (50399440)

研究分担者 国末 達也  愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90380287)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード内分泌撹乱性評価 / アミロイド凝集 / トランスサイレチン
研究実績の概要

体内に取り込まれる化合物分子に関して、長期的に健康に影響する要因として内分泌撹乱性の評価が重要である。通常は甲状腺ホルモンの輸送タンパク質であるトランスサイレチン(TTR)との結合能を評価するが、従来法では標準物質の分離が必要、感度が不足しているなどの問題点があった。そこで本研究では凝集性タンパク質であるアミロイドβ(Aβ)の凝集を指標とした、簡便かつ高感度な内分泌撹乱性の分析評価法を開発することを目的とした。まず、TTRと目的化合物、Aβを共存させ、インキュベートした後のAβ凝集量を蛍光プローブで定量することで目的化合物のTTR結合能および内分泌攪乱性を評価することを目指した。まず、TTRによるAβ凝集への影響を、アミロイド特異的な蛍光プローブの1種であるチオフラビンT(ThT)により調べたところ、TTR濃度依存的にAβ凝集が減少したことが分かった。この結果はTTRがAβ凝集を阻害することを示している。さらに、TTR存在下との結合が強いことが知られているT4を用いて本アイデアの有効性を確立することを目指した。様々な濃度のT4をTTRとインキュベートし、Aβ凝集阻害効果への影響を調べた。その結果、T4濃度依存的にAβ凝集量が増加していた。これはT4がTTRに結合したために、Aβ凝集阻害効果が減少したためと考えられる。TTRへの結合は、T4が内分泌撹乱性を有することを示すため、Aβ凝集量を調べることで、化合物の内分泌撹乱性が評価できることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

甲状腺ホルモンの輸送タンパク質であるTTRによるAβの凝集阻害効果への影響を調べることで、化合物のTTRへの結合能を評価できるという仮説を実証することができた。また、アミロイド凝集の高感度検出のための、金ナノ粒子による高感度分子検出法の開発を並行して進めた。さらに、化合物のAβなどのアミロイド凝集への影響評価を行う過程で、過硝酸がAβ凝集を抑制することを見出した。このことは、アミロイド凝集病の治療薬設計の指針になり得る。

今後の研究の推進方策

今回、TTRに結合することが明らかとなっているT4存在下において、TTRによるAβの凝集阻害効果が減少したことを見出した。今後は、他の様々な化合物存在下において、TTRのAβ凝集阻害効果への影響を調べることで、化合物の内分泌撹乱性評価可能であることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

トランスサイレチン(TTR)によるアミロイドβ(Aβ)タンパク質凝集の抑制効果への影響評価の実証が予想以上にうまくいき、予定していた試薬を使わずに済んだ。翌年度は、予定していた予算と合わせて、様々な化合物の内分泌撹乱性評価実験や、学会発表に使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Peroxynitric acid inhibits amyloid b aggregation2023

    • 著者名/発表者名
      Haruka Kawabe, Satoshi Ikawa, Katsuhisa Kitano, Tamotsu Zako
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 660 ページ: 1-5

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.03.060

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of the enzymatic degradation of lysozyme fibrils using a combination method of non-denaturing gel electrophoresis and double staining with Coomassie Brilliant Blue G-250 and R-250 dyes2023

    • 著者名/発表者名
      Kenichiro Nagata, Ryo Ashikaga, Wakako Mori, Tamotsu Zako, Youji Shimazaki
    • 雑誌名

      Analytical Sciences

      巻: 39 ページ: 267-274

    • DOI

      10.1007/s44211-022-00229-w

    • 査読あり
  • [学会発表] 金ナノ粒子を用いたバイオセンシング2022

    • 著者名/発表者名
      座古保
    • 学会等名
      生物化学的測定研究会 第27回学術シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] インスリン製剤由来のアミロイド形成に重要な相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      土江 祐介 、森 若子 、 Mikael Lindgren 、Per Hammarstrom 、岩屋 啓一 、永瀬 晃正 、 座古 保
    • 学会等名
      第22回日本蛋白質科学会
  • [学会発表] タンパク質のアミロイド凝2022

    • 著者名/発表者名
      座古保
    • 学会等名
      14th Biomedical Interface Workshop
  • [学会発表] 先端ナノ・バイオ分析研究の進展について2022

    • 著者名/発表者名
      座古保
    • 学会等名
      ナノ・プラズマバイオ研究会
  • [学会発表] インスリンアミロイド形成における相分離現象および構造・毒性相関2022

    • 著者名/発表者名
      座古保
    • 学会等名
      第二回相分離生物物理学研究会

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公開日: 2023-12-25  

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