• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

メタノール資化性細菌の植物葉面での優占化にはメタノール走化性が関与するのか?

研究課題

研究課題/領域番号 22K19133
研究機関京都大学

研究代表者

由里本 博也  京都大学, 農学研究科, 准教授 (00283648)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワード生物間相互作用 / 微生物生理 / 葉面微生物 / 作物増収 / MCPタンパク質 / Cheタンパク質
研究実績の概要

1.メタノール走化性に関わるタンパク質群の同定と機能解析
大腸菌などで明らかにされている走化性に関わるタンパク質群には、誘因物質の認識に関わるMCPタンパク質群と鞭毛タンパク質へのシグナル伝達を担うCheタンパク質群が知られている。本研究では、Methylobacterium sp. OR01株のドラフトゲノム解析で見出したこれらの候補遺伝子の破壊株を構築し、メタノール走化性を評価した。その結果、メタノール走化性に主要な役割を果たすMCPタンパク質とCheタンパク質を同定することができた。メタノール走化性に関わるMCPタンパク質がCheタンパク質依存的に細胞極近傍に局在することが明らかとなり、両者が相互作用することが示唆された。さらに、本菌の走化性や運動性におけるべん毛の役割を調べるために、フラジェリンをコードする遺伝子に着目した。ドラフトゲノムに見出した3つの同遺伝子をすべて破壊することにより、運動性およびメタノール走化性が失われた。
2.C1細菌のメタノール走化性評価と葉面分布動態解析
OR01株の野生株とメタノール走化性に関わる遺伝子の破壊株について、アカシソへの定着能を解析した。異なる蛍光タンパク質で標識した2株を、アカシソ種子に単独および混合接種し、栽培後の葉の表層微生物細胞数をフローサイトメトリーにより定量した。その結果、CheA遺伝子破壊株では、単独接種と混合接種のどちらにおいても野生株と比較して細胞数が有意に減少していたことから、OR01株のアカシソ葉面への定着には、CheAタンパク質が重要な役割を果たすことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アカシソに優占化するMethylobacterium sp. OR01株のメタノール走化性に関与するタンパク質として、MCPタンパク質、CheAタンパク質および、べん毛を構成するフラジェリンをコードする遺伝子を同定することができた。さらにこれらの遺伝子破壊株のアカシソ葉面への定着能を評価し、CheAタンパク質の葉面定着能への重要性を明らかにすることができており、概ね計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

メタノール走化性の分子機構解析については、MCPタンパク質とCheAタンパク質に加え、他のCheタンパク質との相互作用解析等を行い、より詳細に明らかにする。各種遺伝子破壊株や他種のC1細菌の葉面への定着能および分布動態を解析し、メタノール走化性と葉面への優占化との関連性を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の消耗品の変更や、学会・研究会がオンライン開催となったために消耗品および旅費に未執行額が生じた。R5年度は当初計画分の他、研究効率化のための物品の購入や国内旅費に使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Interaction between C1-microorganisms and plants: contribution to the global carbon cycle and microbial survival strategies in the phyllosphere2022

    • 著者名/発表者名
      Hiroya Yurimoto, Yasuyoshi Sakai
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 87 ページ: 1~6

    • DOI

      10.1093/bbb/zbac176

    • 査読あり
  • [学会発表] 葉圏C1微生物の生理・生態から明らかになる新たな炭素循環像とバイオスティミュラントとしての機能開発2023

    • 著者名/発表者名
      阪井康能、由里本博也
    • 学会等名
      日本農薬学会第48回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Methylobacterium sp. OR01株のメタノール走化性に関わる CheA タンパク質の同定2023

    • 著者名/発表者名
      加地奏絵、片山志織、由里本博也、阪井康能
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
  • [学会発表] Methylobacterium sp. OR01 株のアカシソ上での優占化におけるべん毛の重要性2023

    • 著者名/発表者名
      片山志織、加地奏絵、由里本博也、阪井康能
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
  • [学会発表] Distribution and survival strategy of methylotrophs in the phyllosphere2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuyoshi Sakai, Kosuke Shiraishi, Hiroya Yurimoto
    • 学会等名
      Phyllosphere 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] メチロトローフ細菌由来バイオポリマーによる稲作収量の向上2022

    • 著者名/発表者名
      由里本博也
    • 学会等名
      C1ケムバイオエコノミーシンポジウム
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi